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押し目をつけた後の上昇や、戻った後の下落は、いくらの価格まで進むのか?
一目均衡表の「値幅観測論」なら、計算式で到達地点を設定できます。
今回も、こちらの本を参考にしました。一目均衡表はFXに限らず、指数や個別株にも活用できる手法です。
※「一目均衡表(R)」は株式会社経済変動総研が商標を登録しています。投資・トレードをする方は、免責事項をお読みください。
1.一目均衡表の3大理論
一目均衡表には、3つの理論があります。それぞれに分析する対象が違います。
- 時間論……期間
- 値幅観測論……価格
- 波動論……チャート上の線の形
前回は時間論を解説しました。そのポイントをもう一度復習しておきます。
- 高値安値を設定する
- 計算をしてパターンを捉える
- 計算をして、複数のシナリオを立てる
複数のシナリオがあるので、分かりやすい場面に絞ったエントリーがオススメです。
今日は、3大理論のうち値幅観測論に絞って解説をします。テキストには数値の実例や、過去の日経平均などのチャートが乗っているので、計算のイメージがもっと分かります。ぜひ、本をテキストとして手元に置いて、分析に使ってみてください。
2.値幅観測論の基本パターン
事前準備
最初に、次のことをします。
- 高値安値を捉える
- 上昇トレンドか下落トレンドかを判断する
押しや戻りの幅が大きい:V値
V計算値:押した分だけ倍返し
上昇時に押した値幅の2倍上昇する、下落時には戻った値幅の2倍下落するという考え方です。V字回復、だまし上げなどと呼ばれる場面で現れそうです。
押しや戻りの幅が小さい時:E値・N値・NT値
E計算値
「安値から高値の値幅」を、高値に足す。
N計算値
「安値から高値の値幅」を、押し目の末端価格に足す。
NT計算値:いちばん変動幅が小さい想定
「安値から押し目の末端の値幅」を、押し目の末端価格に足す。
計算値は値が大きい順にE>N>NTとなります。
4種の計算値を出していれば、反転するかもしれないゾーンを設定することができて、売買判断がしやすくなると考えられます。
3.応用パターン
仲値計算値
上記4種(V・E・N・NT)のうち、値幅の近い2つを選んで、その半分の値を出します。より細かい価格想定に使います。
2Eと3E
想定していたE値を突き抜けた時、とても強いトレンドと認識して、
- 「安値から高値の値幅」を、高値から2回足す
- 「安値から高値の値幅」を、高値から3回足す
といった計算で、計算をやり直します。
修正値幅
同じ方向のトレンドの波の中で、同じ値幅が現れると考えて到達価格を予測する方法です。
背反値
下落トレンド中の波の値幅が、鏡のように、上昇トレンドの中の波の値幅として現れるという考え方です。
文章だけではすこしイメージしにくいかもしれません。本では、実際に現れたチャートを使って計算値を確かめることができます。手法を使う根拠や自信を強められるので、ぜひ読んでみてください。
4.疑問点
値幅観測論で、いくつかの調べたいことが出てきました。まだ答えにはたどり着けていませんが、情報を追っていきたいと思います
想定値が多すぎ問題:どの計算式を優先するか
まず、仲値計算値を見ると、基本パターンの4種(V・E・N・NT)のうち2つを選ぶ組み合わせは6通りあります。
これに基本パターンの4種、修正値幅や背反値、2E、3Eを追加すると、想定値が増え過ぎるように思います。「分かりやすい時にだけトレードをする」というスタンスから少し外れてきます。
また、自分が「こうなって欲しい」という価格を優先してしまう可能性もあります。シンプルに活用するには、主観が入ることを前提にして、E値で大きな利益を目指す、NT値で堅実な利益を目指すなど、状況やリスク許容度によって性格に合う計算値を使い分けるのが良いのかもしれません。
値幅観測論で比率は使わないのか?
値幅観測論は、同じ「値幅」が繰り返されるという考え方です。比率を使わないのかが気になります。
押しや戻りは事前に分かる?
値幅観測論の解説では、どこまで押すか、どこまで戻るかは、具体的に説明されていませんでした。反発するポイントは、時間論の日数計算でだいたいの検討をつける必要があるのかもしれません。
また、より広い範囲を表示したチャートを表示して、過去の高値と安値を基準に、E計算値で逆算をする方法もあるかもしれません。これは、61.8%・50%・38.2%などを使うフィボナッチ・リトレースメントの考え方に近い気もします。
5.まとめ
今回は、値幅観測論を解説しました。
この理論単体では、計算式が複数あってシナリオが分かれます。押し目や戻りを想定した逆張りエントリーに使うよりも、利益確定のゾーンを設定したエグジットに活用する理論ではないかと私は考えています。
トレードと投資は上達します!