「ペン図は3つまで」という話です。
要素ごとの関係を集合であらわす時に「ペン図」が使われます。
これは、3つまでがいいという話です。
この数には理由があり、それは、要素が4つ以上になった時の図を作ると見えてきます。
一見、多くのことを表せて「良さそう」に見えますが、実は、「AかつC、でもBやDではない」という要素を表すことができていません。「BかつD、でもAやCではない」の場合も表すことができません。
MECE(漏れなく、ダブりなく)に書き出すには、「ペン図は3つまで」が原則です。
このルールは、経営学と心理学をつなげるときには、少し注意が必要だと感じています。心理学では、どの観点から分類をするのかによって、いくらでも分け方ができます。
同じ1人の人間や、1つの集団を、いくつもの姿にラベリングすることができてしまいます。そのたびに、ペン図の数が急に増えることになります。
ペン図で漏れなく書き出せたと思っていたら、新しい心理学の概念が表れてカテゴリが増えてしまったなんてことが起こります。
マズローの5段階の欲求説のように、そもそも3段階や3分類より多い要素の場合、ペン図で表すことは不適切です。また、完全に3つに概念化できるということは、すでに、その図の表すテーマが発展することは無いということの現われのようにも思います。
3C分析やWill,Can,Mustの視点など、ペン図は常に未完成のテーマや、具体性を考えるテーマ、これから発展して概念を固める途中段階にあるテーマに対して使うものかもしれません。そう考えると、ペン図は時間をかけてこだわって思考を落とし込む終着点ではなく、考えるためのヒントやアイディアの足掛かりとして扱うことが向いているツールだと考えています。