このサイトでは、投資とトレードに役立つ本の紹介やコラム記事を投稿しています。毎週木曜日(18時)と日曜日(朝9時)の投稿を目指しています。
今日は、金融資産のポートフォリオを調整し、将来得られるリスクとリターンを考える本を紹介します。
資産を攻撃的に(アクティブ)に持つのか、防御的(ディフェンシブ)に持つのか、準備をする視点を与えてくれる本を紹介します。
テーマ:ポートフォリオ、中長期投資、リスクとリターン、理論寄り、楽観と悲観のサイクル
1.市場サイクルとは
この本はロンドンの投資会社の創設者であるハワード・マークス氏が書いた本です。
価格に影響を及ぼす要因に、
(1)ファンダメンタルズ
(2)それによって起きる投資家心理
の2点を挙げて、これらの動きが歴史的に繰り返されていることが解説されます。
(1)ファンダメンタルズ
決算書を含むファンダメンタルに影響を与える要素として、次の項目が解説されます。
- 景気サイクル
- 企業利益サイクル
- 信用サイクル
- 不動産サイクル
それぞれに影響し合いながら上昇相場と下落相場をつくり、投資家に心理的変化を及ぼします。楽観と強欲、悲観と失望の移り変わりが、段階ごとに順を追って説明されています。
例として、
- 不動産需要が拡大し、契約した大量の建物が完成する頃には、景気が移り変わって空室率が上昇する。
- 金融機関によるお金じゃぶじゃぶ貸付の時期を過ぎると、お金の供給を引き締める段階に移る。
などです。
(2)ファンダメンタルズが投資家に与える心理
ファンダメンタルズによって、投資家心理も振り子のように動きます。
「もうだめだと底で売る、まだ上がると思って天井で買う」
これは私も他人ごとではありません。「あのローソク足のひげは私が作りました」と言う失敗トレードが思い出されます。
この本は、「まだ、もう」という感情に突き動かされたトレードに、歯止めをかけてくれるかもしれません。
2.ポートフォリオをつくる
ポートフォリオとは
持っている金融資産の内訳のことを指します。
米国株式・国内株式・米国債券・国内債券などを、リスクとリターンを考えて資産の何%まで保有するかを考える視点です。リスク分散を目的に使われることもあります。
ポートフォリオを作成する視点
この本では、ポートフォリオを考える視点が紹介されます。
- ポートフォリオは攻撃的か、受動的か?
- 楽観、中立、悲観、今はどのサイクルの中にいるか?
投資の効率や、欲しい利益を改めて振り返った時に、ポートフォリオという視点が生きてきます。
私はこれに、人生の中で、今はリスクをとれる時期なのか?という質問も加えたいです。
ポートフォリオへの疑問:短期投資枠と長期投資枠
この本を読んで、疑問が1つ出てきています。ポートフォリオを考えるときに「長期投資+短期投資」とまとめて考えるか、「長期投資」と「短期投資」それぞれ個別に分けるか、という疑問です。
ゴールド関連の金融商品を買う場合でも、数十年の長期分散積立で買う場合と、2週間で売買をする場合では、考え方も使う指標も変わります。
3.個人投資家が機関投資家の考えに合わせる方法は?
個人投資家の強み
個人投資家が、機関投資家に完全に合わせたいのなら、アクティブ運用またはパッシブ運用の投資信託を買えばいい話です。
個人投資家の強みとしてよく言われているのは、
- 長期・超長期で分散積立購入ができる
- 売買をせずに休める
- 現金、預金という安全資産を選べる(為替リスク等を除く)
などです。
ポートフォリオ活用:ほったらかし投資やロボアドバイザーから自分で考える投資家になる
定年を迎えた60代以降の方ならともかく、損失を出してもまだまだリカバリーできる20代30代の方は、色々な投資方法を試してみても良いと思います。ほったらかし投資やロボアドバイザーだけをずっと続けるのは経験機会の損失になると私は考えています。
それに、自分で投資対象を決める力をつければ、手数料を払う必要がありません。プロには及ばなくても、機関投資家の考え方を吸収しようと行動することは、エントリーを絞った、振り返りと改善がしやすいトレードをすることにつながると考えています。
4,リスクを抑えた投資を後押しする言葉
短期トレードではチャンスを逃しているかもしれないと焦る気持ちが起こります。
投資情報を集めていると、ディフェンシブに資産を持つことや、無理に動かないことを肯定してくれる言葉にも出会えます。
- 3か月後も、1年後も、10年先20年先も相場は無くならない。
- わかりやすい時に買いエントリーをすれば良い。
- 先行きが読めないなら、今は急いで売買しなくても良い。
- 人生のなかに相場はあるが、相場は人生そのものではない。
投資を始めたからこそ、価値が減りにくい現金のありがたみに気づいたことも、投資を始めて良かったことの1つです。
5.市場サイクルを解説するYoutuber
私が参考にしている投資系youtuberの中では、次の3名が相場サイクルを踏まえた解説をすることが多いです。
田中泰輔氏、上岡正明氏、NOBU塾のNOBU氏です。過去の記事で紹介リンクをつけています。ぜひ参考にしてみてください。
ベテランのYoutuberの人たちのように、マクロ経済の視点や相場のサイクルの視点から相場を解説できる人には憧れます。
まとめ
企業の信用や不動産、投資家心理などから市場サイクルを解説し、投資家のポートフォリオに目を向けさせてくれる良書です。
目先のテクニカル指標だけではなく、中長期的な市場サイクルの視点を個人投資家に与えてくれます。
タイトル:『市場サイクルを極める』
著者:ハワード・マークス
発行:日経BP、日本経済新聞出版本部
販売:日経BPマーケティング
初版:2018.10
投資とトレードは上達します!