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日本全国で介護ストライキが一斉に起きたわけですが……3月13日に

2025年3月13日、日本で介護職のストライキが起きました。

医療介護のストライキ

海外ではなく、日本で起きた話です。

 

患者様や利用者様の生命を守ることを前提に行われました。

 

1.医労連がストライキを呼び掛け

ストライキの呼びかけは医労連(日本医療労働組合連合会)から始まりました。

 

医労連は、簡単に言うと医療業界の労働組合です。

 

医労連のホームページから引用すると、次の施設が参加しているようです。

現在、日本医労連は、7全国組合・47都道府県医労連で構成され、約17万人が加入しています。国立病院・療養所、自治体立病院、日赤病院、厚生連(農協)病院、社会保険病院、労災病院、国家公務員共済連合会病院・公立学校共済組合病院、済生会病院、厚生年金病院などの全国的な病院や、国公立・私立大学の付属病院、民間の病院・診療所、訪問看護ステーション、老人ホーム・保健施設、調剤薬局、重症心身障害児(者)施設・肢体不自由児施設、保育所などの福祉施設も含めて、設置主体や企業規模の違いをこえて、医療や福祉の職場・関連する事業所ではたらく労働者・労働組合が加入しています。

大規模な病院施設から、老人ホームまであります。

 

今回は、医労連の呼びかけにより、応じた施設の職員がストライキを実行する流れでした。

 

2.生命優先で実行したことが凄い

大阪と北海道は100件超え、東京は40数件と、何かしらの政治的な影響力も関係しているのかもしれません。

 

診療に影響がないように実行したことは、良い意味で凄いと感じました。ニュースを追っていると、「診療に影響が出ないように朝8時からの29分間の実施」など、相当に患者に最大限配慮をしている様子が読み取れました。

 

全国にどのくらい介護施設があるかというと、

令和5年の報道発表では、

  • 介護保険施設:約13,000事業所
  • 訪問系サービス:約77,000事業所
  • グループホームや通所介護:約33,000事業所

です。https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service23/dl/press.pdf

 

ストライキに参加したのは約1,050事業所で、数字の上では微々たる数字でしたが、参加施設の中には

  • 国立病院機構
  • 赤十字病院
  • 生協病院

などの地域の「生命に直結する医療機関」が含まれていることが目を引きました

「医療・介護を守る!3.13全国統一ストライキ」決議マップ│医労連・日本医療労働組合連合会

 

人を治して移動する力を与える急性期病院の多くが赤字で、人を囲い込む訪問看護事業が黒字というのが最近の傾向です。

 

3.制度ハックはいたちごっこ

2025年には業界で目立った動きがありました。診療報酬制度をハックすることに注力した企業がサンウェルズという上場企業で、2025年に訪問看護での過剰な診療報酬請求が黒(=不正)認定されました。今回は見せしめにされましたが、パーキンソン病の介護施設を運営する非上場企業も、民間の訪問看護ステーションも似たようなことはしていたと思います。

 

制度をハックして利益を上げる事業形態は監査のいたちごっこのようなもので、訪問看護事業所の看護師2人×1日3回フル訪問は今回で天井を塞がれたことになりました。

  • 医療的な意義をとる。
  • 制度をハックして、収入を上げる生活をとる。

どちらも両方とも選ぶ選択肢があるはずなのに、医学的意義と給料が、どちらかをとればどちらかをとれないトレードオフの関係のように扱われているような風潮に違和感を覚えます。

 

過去の記事では、移動する力を与える急性期病院よりも、たとえ寝たきりでも肉体的に生かすことに注力した地域医療としての訪問看護サービスの方が黒字で儲かるということを過去の記事でも書きました。

これからの医療介護の業界で働くなら、医療的意義や症例の場数/経験を度外視するなら、富裕層相手の高級介護施設の時短勤務か夜勤専属が、そこそこ給料をもらえて、身も心も消耗せずに働く1つの方法だと現実的には思います。

 

4.サービス残業が「自己研鑽・自己学習」にされる

命を救う急性期は他の施設よりも給料が安く、職員の残業も多い傾向があります。業務上で必須の仕事を「自己研鑽、自己学習」と申請することを強制される風潮が根強いです。誰も逆らえない。そうした閉塞的な環境に風穴を開けようとするように、2025/3/12のYahoo!ニュースの記事では59歳の看護師長の人が残業代を請求するために提訴をした記事が載っていました。

医療介護業界の職員の奉仕マインドが搾取されてきたとも言えますし、逆に言えば従業員側も移動せず、理不尽を伝統的に受け渡し続けて現状維持をしてきた結果が今だとも思えます。

  • 年上の言うことは聞きなさい?
  • どうして仲良くできないの?

は、もう古い価値観の押しつけのように感じます。

 

5.業界を変えるか、抜けて自分を守るか

2025年3月13日のストライキのような抗議活動や、残業代請求のような訴訟はこれからもあるでしょうが、組織そのものを変えるよりも、組織を抜けて別の職場に転職をする人が大半だと私は思います。他人のために医療介護を保つ意義はもちろんありますが、そのことと、ヘトヘトにならないように自分を守るケアをすることは、また別の問題です。

 

1年間賃金が変わらない契約をしているなら、1年間賃金が変わらないのは当然のことです。同じ場所に留まり続けて移動しないでいると、契約も変わることはありません。移動しない人は、提示された通りの高い価格の物やサービスを受け入れることが求められる社会が来ると思っています。

 

実際、サービスを利用する側の立場では現状維持のコストはどんどん上がります。米も5kg4,000円に上がっています。美容サービスや民間介護サービスもそのうち値上がりします。

  • 今と同じ水準の生活を現状維持をしたいなら、移動し続ける
  • 動けないなら密集して生き、現状維持費用の値上がりを受け入れる。

働き手がどんどん減っていく社会では、売ってくれない、サービスをしてくれないことが起きます。今回のストライキは診療には影響が無いように行われましたが、どこで、生活や仕事に影響が出るストライキが起きるかの話にもなってくると思います。これからの日本でも、ぽつぽつと業界ごとのストライキが起きてくることを予感させるニュースでした。