このブログは、大人しい人が手に職を付けて、専門職として働くことをサポートするブログです。
役に立つ仕事術から転職&再就職まで案内しています。人付き合いが苦手でもOKです。
前回は、雇われる働き方のリスクを紹介しました。
今回は、「飲み会・始業前の掃除・雑談」をする理由を、「おいしい仕事をもらうための社内営業」という考え方をベースにして整理します。
1.プライベートを捧げよ
1-1 会社の「空気」を言い換えると?
新しく入った人が「空気を読めるか」は多くの場所で話題に上がります。
「空気」というとふわっとした言い方ですが、次のように言い換えることができます。
会社の空気とは、
- 契約で決められた業務時間「以外」の行動を縛る暗黙のルール
- 社内でもらえる仕事が平等ではないことの格差の現実
- 評価されやすいとわかっている行動
新しく組織に入った人にとって、「空気を読む」とは、業務時間「以外」での立ち振る舞いを通じて、成果の上がりやすいおいしい仕事を与えられるチャンスを増やすこと、と言い換えることができます。
逆に言えば、「スキルアップには興味が無い、あえて仕事を遅くして楽に給料をもらいたい」人は、空気なんて読む必要が無いです。
でも、そうではない人が大半だと思います。
1-2 もらえる仕事は不平等
社外に向けて営業をしないなら、仕事をくれる上司や先輩に対して、欲しい仕事をアピールすることが必要です。
もらえる仕事は不平等です。将来の専門性につながる仕事が欲しいなら、飲み会や、始業前の掃除や、雑談を通じて、成果の出やすい仕事を振り分けてもらえる可能性を高める行動が必要です。
そのため、ある程度は、プライベートの時間を捧げる必要が出てきます。
2. 業務時間外をデザインする
さて、組織でメンバーがつくる「空気」は、私たちの業務時間「以外」の行動を縛り付けて制限してくることが難点です。
だからこそ、「空気」という「ルール・格差の現実・行動」を整理する必要があります。空気の正体を知れば、自分の時間を自分らしくデザインすることができます。
また、これから案内する「組織に馴染むための我慢:空気10か条」が嫌すぎて仕方がないなら、自宅でできるリモートワークを、ひとつ選択肢に入れてみて下さい。
仕事の選択肢は、多ければ多いほど私たちを助けてくれます。
3.社員の空気十か条
会社の空気を、多数派の(過激な)価値観、対処法、ひとことコメントの順で整理しました。
空気1:30分前に出勤する
多数派の価値観は、
- 10分前には着替えを済ませて、席に付いておくのが当たり前。
- 中には、30分前に来るのが当たり前と思っている人もいる。
- いつもギリギリに来る人は、年齢関係なく「ネタ」にして馬鹿にしてもいい。
- ギリギリに来る人は協調性が無い。
【対処法】
- どんなに遅くても始業10分前には、仕事を始められる体制をつくる。
- 社員に見える場所で待ち、出社している姿を見せる。
【ひとこと】
始業の10分前に来るのは、ビジネスマナーとしては当たり前ですね。
出勤ギリギリに来る人がいると、今日の計画が上手く進むかどうか、朝からいちいち心配をしないといけなくなって、ストレスが増えます。
朝に早く来て食堂や休憩室で過ごす場合も、先輩や上司にちゃんと姿を見せて安心させることが大事です。
空気2:更衣室では若手が喋る
多数派の価値観は、
- 更衣室では、若手や新人などの立場の弱い方が、先輩上司に先に話しかけてご機嫌を伺うべき。
- ロッカー室で気まずい沈黙が起こったら、それは喋らない若手が悪い。
- 30秒間喋らないなら「無視した」と認定してもいい。
- 「あいさつだけしかしない人」は「お前が嫌い」というメッセージを送っていることと同じ。
重たい沈黙は、お互いに感じています。しかし、沈黙は力の強い側に都合よく解釈されます。
「喋る話題がない、喋るのが苦手」という理由があっても、次のように「わざと喋らない態度をとる迷惑な人」として扱われます。
- この人、全然喋らないな。
- この人、わざと何も喋っていないな。
- この人、わざと無視してきている、嫌な人だ。
- わざと喋らない嫌な人は、悪い噂を流しても言い返せないから、嫌がらせをしてもばれない
このように、こちらから話しかけてご機嫌をとってあげないと不機嫌になるタイプの人もいるので注意です。
【対処法】
- あいさつは必ずする。
- あいさつだけでは不十分で、「あいさつ+1往復の会話」を心がける。
空気3:始業前に若手が掃除をする
多数派の価値観は、
- 新人は始業前に掃除をするべき。
- 先輩社員だって、入社したての時に朝の掃除をしてきたんだから、次は自分たちが楽をする番だ。
- 自分は我慢したから、次は若手が我慢する番だ。
- 多数派が楽をするためなら、少数の人が辛い思いをしていても許される。
【対処法】
- 次の新入社員が入って来るまで1年間我慢する。
- 当番制にできるかどうか、入社1-3年目の社員と交渉する
【ひとこと】
立場の弱い人が雑務をすることを、誰も助けてはくれません。交渉ができる立場では無いなら、我慢するしかありません。
専門性には直接つながらないので注意です。
空気4:朝礼の社訓は暗記
多数派の価値観は、
- 社訓の読み上げは新人がやるべき。
- 社訓は暗記するべき。
- 暗記しない奴はやる気が無い。
【対処法】
- 社訓はさっさと暗記してしまう。
- 次の新入社員が入って来るまで1年間我慢する。
- 当番制にできるかどうか、入社1-3年目の社員と交渉する。
【ひとこと】
毎日、毎日、毎日、いくら社訓でも、同じことをこう毎日繰り返していると飽きてきます。ウンザリしてきます。
ですが、これも、掃除と同じように誰も助けてはくれないので、交渉をするか我慢するかの選択になります。
空気5:お昼ご飯を一緒に食べる
多数派の価値観は、
- 同じ部署や同期社員なら、お昼ご飯を一緒に食べるのが当たり前
- みんな少しずつ我慢をして「仲が良いアピール」をしているんだから、一人だけ抜けがけをして、楽をするのは許さない。
- 1人で昼ご飯を食べる人は、協調性が無い。
- 1人で昼ご飯を食べる人は、コミュニケーションに難がある。
自分で社外営業をしない限り、相性が合わない人ともベタベタとコミュニケーションをとらないといけません。
- 悪口や噂話を毎日聞かされても、我慢。
- ボス社員の話題には、興味のあるフリをしないといけない。
- ボス社員が目を付けた社員の私物をチェックする。
- ボス社員がいじめる社員の行動をネタとして献上する。
- 野球・競馬・パチンコ・風俗・スマホゲーム、芸能人、テレビドラマの話を毎日聞く。
【対処法】
昼食をなるべく1人で食べたいなら、最初が肝心です。入社間もない場合は、
- 一人で食事をとりたい人だと断りを入れて、一人で食べ続ける。
- でもたまに一緒に食べるというサービスを欠かさない。
もういまさらグループを抜けられない場合は、
- 仕事をわざと10-15分遅らせて、昼食の輪に遅れて参加する
- 早めに食べ終わって、お弁当箱を洗いに行く
- トイレに行く
働き方・職種・転職などで職種を変えるという方法もあります。
- リモートワークに切り替える
【ひとこと】
「お昼休憩の集まりが嫌」という人は意外と多いものです。苦手を超えて「苦痛」というレベルなら、相性が良くないので早めに対応を考える方が良いかもしれません。
お昼休憩を1人で過ごしたい気持ちが強くなってきているなら、完全リモートの職業を選ぶことも一つの手段だと思います。手に職がつく専門職という点を大事にするなら、Webデザインの仕事は良い選択肢の1つになると思います。
仕事を在宅にできるなら、この記事の空気10か条のほとんどを、我慢する必要がなくなります。
空気6:鍵の管理をする
多数派の価値観は、
- ロッカー、デスク、窓、部署の鍵はかけ忘れない
- 鍵の閉め忘れは、犯人捜しをして徹底的に見つける。
- 仕組みを変えずに、個人の努力で頑張る。
【対処法】
- 財布に鍵を入れる。
- 首からさげるストラップに鍵を入れる。
- 最後の退室者にならないように、定時で帰る。
- 施錠後の、窓の写真、ドアの写真をスマホで撮っておく。
【ひとこと】
鍵の管理はビジネスマナーの一つなので、個人でできる対策は必要です。
一方で、誰かの「ついうっかりの締め忘れ」が起きた時に、再発を防ぐ「しくみ」を作ろうとしているかが観察ポイントの1つです。
空気7:バスや電車では相手の行動をマネる
多数派の価値観は、
- バスや電車では、社員同士でも喋りたいのかそうでないかを察して行動するべき
【対処法】
通勤中に、バスや電車で社員と遭った場合は
- とりあえずあいさつを最初にする。
- 相手がスマホを見ているならスマホを見る。
- 相手が喋りかけてきたなら喋る。
離れる方法としては、
- トイレに行くと言って離れる。
- 飲み物を買いたいと言って離れる。
そもそも遭わないようにするために、
- 電車なら階段から遠いところに立つ。
- 自転車通勤ができるように、通勤経路申請を調整する。
- 会社に早く来る、会社を出る時間を遅らせる。
【ひとこと】
先輩社員や上司に対しては、相手の頭の中の思考を読むエスパーになりきりましょう。
空気8:飲み会に参加する
多数派の価値観は、
- 飲み会は出るのが当たり前。
- そもそも不参加を選ぶ権利なんてない。
- 参加しない人は協調性が無い。
- 参加しない人はコミュニケーションに難がある。
- 飲み会に参加しない人は仲間じゃない。
- 腹を割って話さない、本音を語らない、何を考えているか分からない人
- 何を考えているか分からない人は、仲間じゃない。
【対処法】
- 初回の飲み会は参加する。
- 自分が幹事になれる飲み会は積極的に行く
【ひとこと】
飲み会に参加をしないことは、会社ではデメリットが大き過ぎます。
- 飲み会をする風土を作ってきたのは40代50代。
- 仕事を分けてくれるのも40代50代。
ここは我慢です。
一方で、飲み会への参加は、「幹事の段取り力アップ」や「会社の空気の下調べ」ができるので、デメリットばかりではないと思います。
空気9:LINEでつながる
多数派の価値観は、
- LINEを教え合うのが当たり前。
- 業務時間以外でもすぐに連絡をとれるのが当たり前。
- 仲間だから、休みの日に連絡を入れても許される。
- LINEを使わないのは不便だから、使い方を変えてあげることが素晴らしい。
【対処法】
- 「休みの日に仕事の対応するのはおかしい」という気持ちを強く持つ。
- LINEを教えて、「休みの日には応答しないようにしている」と素直に伝える。
- 「家族としかしていない」と断る。
- 「休日に連絡があると、気持ちが休まらなくなってしまうタイプ」だと素直に伝える
- 「そもそもラインを使っていない」とウソを押し通す。
【ひとこと】
休みの日に休む権利があります。
「貴重な休みの日には、ラインの通知をオフ」にすることは、気持ちの切り替えをするためにも大事なことです。
空気10:私物は派手さを抑える
多数派の価値観は、
- 新入社員が高級な物を持っているのは生意気だ。楽をしている。
- 高い買い物は、数年間は苦労してから買うべき。
- かといって、安すぎる服装や腕時計はみっともない。話のネタにして雑に扱ってもいい。
- ボロボロの靴、ヨレヨレの服を着ているのはみっともない。話のネタにして雑に扱ってもいい。
- 人の見た目は、話のネタにしてもいい。
【対処法】
- オフィスカジュアルの服は一人で選ばない。店の人に選んでもらう。
- 身だしなみは清潔感を大事にする。
- 高級車、高級腕時計、高級ブランドバックは控える。
- でも、安物認定されやすい小物も持って行かない。
- コーディネートチェックをしている人は、注意人物として警戒する。
【ひとこと】
身だしなみに最低限のビジネスマナーは必要なので、派手過ぎず清潔感があることが大事です。
4.まとめ
「飲み会・始業前の掃除・雑談」は、おいしい仕事を上司や先輩からもらうために必要な社内営業です。
ただし、「業務時間「以外」を捧げる」、「やったところで、専門性スキルが身につくとは限らない」ということが難点です。
「合わない人や攻撃的な人との縁を切って、狭い場所でベタベタするコミュニケーション」から抜け出したいなら、専門スキルは必須です。会社にいながら、在宅ワークができる専門スキルをこつこつと積み上げると、我慢しない世界が開けてきます。
次の記事では、人が集団になるからこそ生まれる、雑用をまったくしない人への妬みや、雑用を引き受け続けることの影響を整理します。