このサイトでは、投資トレードをテーマに勉強した内容を発信しています。地道にコツコツ技術向上を目指しています。
2022年2月、3月と、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけにして、原油・金・銀・プラチナ・パラジウム・ニッケルなどの資源価格が急騰しました。小麦・とうもろこしなどの農作物価格も上昇しています。
コモディティに興味をもった時に、ネットでは何でも情報にアクセスできる分、どこまで情報を押さえれば良いのか迷ってしまいます。必要最低限の情報を絞るためには、この1冊が参考になります。
※この記事の「金」とはゴールドのことです。
※内容を鵜呑みにせず、最終的な投資決定はご自身の判断の下でお願い致します。投資をされる方は、必ず免責事項(リンク)のページを先にお読みください。
- 1.著者の高橋ダンさんはどんな人?
- 2.本の目次・感想レビュー
- 3.金投資のトップダウン・アプローチ
- 4.金投資のボトムアップ・アプローチ
- 5.金融商品を選ぶ:金現物は5年保有が大前提!?
- 6.口座管理、テクニカル分析の練習
- まとめ
1.著者の高橋ダンさんはどんな人?
<著者紹介>
著者:高橋ダン。1985年生まれ。日本国籍。
経歴:元ウォール街のヘッジファンドマネージャー。投資情報投稿アプリPostPrimeの創設者。
<情報発信ツール>
Youtube(Dan Takahashi YouTube)
PostPrime(PostPrime)
資源が急騰する前から、コモディティをテーマに動画をアップしています。
<推奨ポートフォリオ>
景気上昇を想定した資産(株・社債・不動産)40~60%
景気低迷に備える資産(国債・現金)10~30%
上の二つと連動性が低い資産(コモディティ)20~40%
定期的に配分を見直して、バランス調整を行います。
2.本の目次・感想レビュー
<目次>
第1章 金に投資する6つの理由
第2章 金とは何なのか?
第3章 金に関する投資商品ベスト7
第4章 長期の投資戦略
第5章 短期の投資戦略
ダイヤモンド社、2021年2月16日初版
3.金投資のトップダウン・アプローチ
第1章が対象です。
著者は本当に賢いですね。難しいテーマを要点を絞って初心者にも分かりやすく解説してくれています。
金を薦める理由として、
- インフレに備えるための金
- 暴落急落クラッシュ時の保険としての金
- 有事の金 (※有事…戦争などの非常事態)
を挙げています。2022年3月現在とても関わりが深いテーマではないでしょうか?
次に挙げたサイトは、第1章で説明される図表の引用元です。探してリストアップしました。
■金価格
■各国の金保有量
World Gold Reserves by Country | Central Bank Statistics | Goldhub
■日本のインフレ率
経済指標 | JA | TRADINGECONOMICS.COM
日本 - インフレ率 | 1958-2022 データ | 2023-2024 予測 (tradingeconomics.com)
■1929年大恐慌時のダウ平均株価
Stock Market Index Charts and Data | MacroTrends
※「Precious Metals」を選択すれば貴金属、「Commodities」を選択すればコーン・砂糖・銅などの歴史的な価格推移が一目で分かります。とても面白いです。
■マネーサプライM2
米国 - マネーサプライM2 | 1959-2022 データ | 2023-2024 予測 (tradingeconomics.com)
金の割安、割高を測るための「金価格/マネーサプライM2」の数値を自分でも検証することができます。
■アメリカの公的負債と民間負債の対GDP比
公表日は2020年5月26日。コロナショックの直後に債務残高への懸念が発表されていました。
投資のプロの解説なので、第1章の解説だけで十分価値を感じられる1冊です。
4.金投資のボトムアップ・アプローチ
第2章と第3章が対象です。
テーマは金、銀、白金(プラチナ)、パラジウム。
素材の性質や使われる製品の基本が分かります。
正直言えばネットでも調べることができますが、コモディティ投資を初めてする人にとっては、一覧性があり、情報が絞られていて読みやすいことは大きなメリットです。
貴金属とは何か?
金・銀・プラチナ(白金)・パラジウムの4つがある程度の出来高を伴って取引されています。これにロジウム・イリジウム・ルテニウム・オスミウムの4つを含めて、合計8種を貴金属と呼びます。
卑金属(ひきんぞく)とは何か?
銅・ニッケル・アルミニウム・鉛・亜鉛・すず・タングステンなどを言います。貴金属に比べてイオン化しやすい、つまり酸化などの腐食が起こりやすいという特徴があります。
白金(プラチナ)とホワイトゴールドの違い
まぎらわしいのが白金(プラチナ)とホワイトゴールドです。この2つは別物です。
ホワイトゴールドは、金に銀・パラジウム・銅などを加えた物質を指します。
白金とプラチナは呼び名が違うだけで同じ物質です。
貴金属が使われている製品、産地
銀とパラジウムは工業製品に、プラチナは自動車用に主に使われています。近頃急騰したパラジウムについては、産地がロシアや南アフリカであることがしっかりと書かれています。
次のステップへ
この本では金属の名称と分類、性質、使用製品の代表例、金融商品の違いが分かりました。
製品需要までは説明されていないので、この先は自分で他の情報を調べる必要がありそうです。
- 貴金属の生産量、輸出量ランキング
- 金属の性質をさらに深堀りする
- 使われている製品
- 製品を作っている上場企業
- 製品を作っている企業と、製品を販売している企業の区別
私自身は「チャートが強いから買う」「もう上がってしまったから買わない」という判断をする機会が多いです。ここに素材の知識を加えることで、上がる前の根拠のあるエントリーを増やして利益を得ることを狙っています。
次に読む本としては、次の書籍は関連性が強いです。
辞典は金属の性質から製品まで、広い範囲を網羅しています。
「現場で生かす金属材料シリーズ」は、目次を読むだけで素材と製品の結びつきがとても見やすいです。これはセクター投資にうってつけの本です。アルミニウム、ステンレス、チタンなどのラインナップがあります。
5.金融商品を選ぶ:金現物は5年保有が大前提!?
第3章が対象です。
金融商品の一覧性があるので、投資先を選ぶときに非常に役立ちます。
7種類の金融商品の選び方が書かれています。
- 現物
- 金ETF
- 先物、CFD
- 金鉱株
- 金鉱株ETF
- 銀・プラチナ・パラジウムETF
- ビットコイン
高橋ダンさんのおすすめはETF(上場投資信託)で持つことです。手数料、流動性、保管料の視点で解説されているので、詳しい理由はぜひ読んでみてください!
また、金現物を買う場合に考えるポイントも書いています。消費税10%がかかることや、売却までに5年以上現物を持っていれば、利益にかかる税金が半分になることも説明されます。このように、知っておくべきポイントを押さえてくれているのは、とても親切です。
No.3161 金地金の譲渡による所得|国税庁 (nta.go.jp)
6.口座管理、テクニカル分析の練習
第4章と第5章が対象です。
長期分散積立投資と短期テクニカル分析の説明です。
説明の特長は、(1)長期投資と短期投資で口座を分けて運用すること (2)金価格のチャートを使って、テクニカル分析(RSI,MACD)をしていることの2点です。
習慣化のための努力
私が進めようと考えている方向性です。
<過去の検証>
私はチャートを使ったテクニカル分析の良い方法を探しています。
- 過去の貴金属価格の値動きのクセ
- 金とプラチナの相関
このあたりはyoutuberやプロが解説を出しているので、情報は集めやすいと思います。
さらに、今気になっているのは現物、先物、ETF、個別銘柄の値動きが厳密に同じにならないという点です。
- 金現物と金先物
- 金価格と住友金属鉱山
- 亜鉛価格と東邦亜鉛
- 貴金属価格と総合商社
このあたりも調べたいです。
<現在の記録>
過去の価格を調べる時、当時のニュースを掘るのはとても手間がかかります。
ニュースはリアルタイムで記録する方法が一番負担が少ないと感じます。(毎日できていないのが課題です……)
肌で感じる重要なニュースを残しておけば、自分の感情や売買の振り返りがきっと楽になります。最初のうちは楽に続けることを大事にして、箇条書きで残したいです。
まとめ
経済指標を調べるトップダウン・アプローチと、金属の性質を理解して製品需要やファンダメンタルズを分析するボトムアップ・アプローチ、2つの視点からコモディティ投資を考えられる1冊です。
金鉱株やETFについても説明されているので、貴金属の金融商品を選ぶルールを作ることができます。金属の価格は、戦争による需給ひっ迫に加えて、今後のインフレを受けて再び上昇が起こる可能性があります。
私もひとつずつ学びを積み上げて実践していきます。今後もコモディティは注目です。1冊読むことから始めることがオススメです。
トレードと投資は上達します!