このサイトでは、毎週木曜日と日曜日に、投資・トレードの記事投稿を目指しています。投資本の紹介と考察、トレードの勉強法、売買ルールの作り方を扱っています。
前回に引き続き、TOPIXを利用した、市況株セクター(金融・素材・資源株)のスイングトレードをテーマにした本を解説します。今日は具体的な手法を考察します。
※先に免責事項をお読みいただき、必ずご自身の責任と判断で投資・トレードを行って頂きますよう、お願い致します。
- 1.金融・素材・資源の業種(セクター)一覧
- 2.セクターを絞り込む手法
- 3.銘柄選び:先行株と出遅れ株の傾向、時価総額との関係性
- 4.良質のテキスト:「一貫した再現性」があり、実践がしやすい
- 5.まとめ
1.金融・素材・資源の業種(セクター)一覧
東証33業種のうち、市況株は次の3分類・全13種に分けられます。それぞれに利益がどのように得られるのかという特徴が違います。
金融株
利益の源泉が金融市場の変動から得られる業種(78ページ)
銀行・証券・保険・その他金融セクターの4つです。
素材株
原材料価格や製品販売価格の変動によって業績が左右される業種(78ページ)
石油石炭・鉄鋼・非鉄金属・金属製品・ガラス土石・繊維・パルプ紙の7つです。
資源株
油田・鉱山を保有、もしくは権益を持っていることによって、資産価値や利益が市況によって変動する業種(78ページ)
鉱業・卸売(総合商社4社)の2つです。
2.セクターを絞り込む手法
トップダウン方式・ボトムアップ方式
本書で一貫して解説されているのが、次の2つの手法です。
大きな指標から始めてセクターから個別銘柄を絞り込む「トップダウン方式」と、金・銅・原油などの動きから銘柄を絞り込む「ボトムアップ方式」の2種類です。
どちらも、次の3つが同じ方向を向いていることを重視する順張りトレードの手法です。
トップダウン方式
- TOPIXの5日移動平均線の向き
- 対象セクターの、対TOPIX豪種指数チャートの向き
- 指標から受ける影響のプラスマイナス要因の方向
ボトムアップ方式
- 市況(金・銅・原油など)の移動平均線の向き
- 対象セクターの、対TOPIX業種指数チャートの向き
- TOPIXの5日移動平均線の向き
3つの方向性が同じであることが確認できたら、次の銘柄選択に移ります。その前に1つ、この手法のメリットを書いておきます。
この手法のメリット
この順番で銘柄選びをすると、それだけエントリーをした後に、ホールドを続ける根拠がどんどん増えて重なります。この根拠の強さがあれば、多少は価格を上下に振らされても持ち続けることができます。そして、自分で考える回数を重ねた分だけ、たまに失敗をしながらも、エントリーの質を高める期待がもてます。
3.銘柄選び:先行株と出遅れ株の傾向、時価総額との関係性
限られた時間、限られた資金のトレーダーにとって価値が高い情報
セクターを絞り込めたら、次は個別の銘柄選択です。第2回の記事では、時価総額の大きな銘柄から買うメリットについて書いています。まだ読んでいない方は、先にこちらをお読みください。
私がこの本の一番大きなメリットだと感じたのが、各セクターで時価総額の上位の企業を比べる基準が見つかったことです。次のような内容が、13種すべてのセクターに対して解説されています。
- セクター内で、一番最初に見るべき銘柄
- 先行しやすい銘柄/出遅れやすい銘柄
- 指標が動くと、セクター内で反応しやすい銘柄
資金量が限られている個人投資家にとっては、できるだけ早く上がる銘柄を選びたいものです。出遅れ株よりも先行株を先に選ぶことができれば、後から出遅れの銘柄に資金を移して、資金効率を高められるという期待を持てます。
平日の昼休みに、前場の値動きを確認している人にとって、限られた数十分の時間内でどれだけ早く判断にたどり着けるかは、特に重要だと考えています。
市況株の13種を再確認
もう一度確認をすると、市況株には次の13種類があります。この業種の中に、気になっている動きをしている銘柄があるなら、本の情報がそのトレードの質をきっと高めてくれます。
金融株:銀行、証券、保険、その他金融セクター(オリックスなど)
素材株:石油石炭、鉄鋼、非鉄金属、金属製品、ガラス土石、繊維、パルプ紙
資源株:鉱業(住友金属鉱山やDOWAホールディングス)、卸売(総合商社4社)
各セクターの時価総額上位ランキングは、日経新聞のホームページに最新情報が載っています。本書をこのランキングの解説本として使ってみましょう。
時価総額上位ランキング :ランキング :マーケット :日経電子版 (nikkei.com)
ランキングに対するピンポイントの解説が、本で書かれていることが分かります。
本から情報を知って、「原油と銅が上がれば、ENEOSホールディングスの株価を見る」などの行動に、すぐに移してみましょう。
4.良質のテキスト:「一貫した再現性」があり、実践がしやすい
この本の解説は、どの例をとっても銘柄選択を絞りこむ方法がすべて一貫していて考え方がブレません。手法の「再現性」が抜群に高いです。
買いと空売りの実践例も、1章分をまるごと使っているほど豊富で、巻末には練習問題もついています。
「TOPIX指数と個別銘柄を関連付ける考え方」を探している方には、ピッタリの1冊です。
本を読み終わる頃には、銘柄を絞り込む手順のイメージが、しっかりと定着しているはずです。
こちらの本も一緒に読めば、さらに指数の考え方への理解が深まり、トレード技術も高める期待が持てます。
5.まとめ
3回にわたって、市況株短期トレードの手法の解説と考察をしてきました。投資・トレードを始めたばかりの初心者の人にとっては、銘柄選びやエントリーの根拠を強めてくれる1冊です。
私自身、この本を読んだことで、セクターや銘柄を選ぶ基準を一つハッキリとさせることができました。今後も何度も読み返して、自分のトレードルールに落とし込めているかを、たびたびチェックしたい本です。