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【投資本】No.017(1) 個人の短期スイングトレーダーが有利な市場を見つける方法『TOPIX業種指数をチャートの動きに乗る個人投資家のための「市況株」短期トレード』レビュー(その1)

このサイトでは、毎週木曜日と日曜日に、投資・トレードの記事投稿を目指しています。投資本の紹介や考察、投資トレードの勉強法、売買ルールの作り方を扱っています。

 

個人スイングトレーダーが市況株(金融素材資源セクター)で生き残る方法,投資本おすすめ,No17,サムネイル

今日からの1冊は『個人投資家のための「市況株」短期トレード』です。資源/素材/金融セクターに注目している個人投資家/トレーダーの方にとって、日々の売買に活用できる内容がギュッと盛り込まれています。

 

また、駆け出しの個人トレーダーが、初心者から中級者になるまで生き残るためのヒントを与えてくれる1冊です。

※必ず免責事項のページを先にお読みください。

 

 

1.著者の経歴、考え方

<プロフィール>

著者は浜本学泰(はまもとたかやす)氏です。

 

証券アナリスト、元証券会社勤務、元ファンドマネージャーという経歴があります。現在は投資塾の講師で現役の個人投資家です。圧倒的に個人の味方になってくれる立場から、この本は書かれています。

 

<著者の考え方>

機関投資家が強いフィールドでは戦わないことを第一にして、個人投資家に勝機がある次の方法を推奨しています。

 

〇対象を市況株[金融/資源/素材セクター]に絞り

〇必要最小限のファンダメンタル分析で銘柄を選び

〇テクニカル分析で売買タイミングを見つけて

〇数日から数週間で、短期スイングトレードを行う

 

 

2.【私の連想】個人投資家が機関投資家を上回った事例

この本を読んでいると、個人投資家が生き残り続けるためには何が必要なのかを考えるようになります。本には書かれていませんが、私は次の出来事を連想しました。どれも、個人投資家が市場に力強いインパクトを与えた事例です。

 

2020年4月以降に、コロナショックで暴落した日経平均株価に対して、機関投資家は2番底を想定していていました。そこへ、今までにないほど日本の個人投資家が株式市場に参入して資金を投入しました。株価を押し上げた結果、機関の買戻しが入り株価は2番底をつけることなく上昇しました。

 

また、2021年の米国では、ゲームストップというゲーム会社の株について、機関投資家が空売りをして価格を下げている状況に対し、個人投資家が団結して(ある意味では悪ノリして)対抗して買い向かった結果、機関の資金が限界になり買戻しが起こりました。

 

さらに、ビットコインも、ひと昔前までは買った個人投資家がまるで異端者のようにみられていましたが、今では国家を巻き込むほどにまで買い手が参入しています。

 

どれも、個人投資家がファンダメンタルズをガン無視した行動で需給に影響を与えた事例と言えます。適正価格なんてクソくらえ!自分たちが価格を決めるぞ」とでも言うような熱狂した資金が、機関投資家が作ったシナリオを打ち破ったのです。

 

 

 

3.勝った個人トレーダーは、機関投資家が強いフィールドでは戦わなかった

この本では、個人トレーダーが生き残るためには、機関投資家が力を出しにくい分野でトレードをすることが重要だと解説されています。

 

本から読み取れる機関投資家の強さは、次の2点にまとめることができます。

  1. ファンダメンタルズ分析で適正価格を導き出す。
  2. 豊富な資金量で適正価格へと近付ける。

機関は表向きはお行儀良くスマートに見えますが、実際は圧倒的な資金量で、売り浴びせと買いたたきを行います。株価を下げたい時には、わざと悲観的なニュースを流して、個人トレーダーの心理と行動を、手のひらの上で思うがままに転がして利益を搾り取ろうとしています。

 

こうした機関の行動を考えると、個人投資家にとって、適正価格を機関投資家に握られてしまう分野は分が悪いと言えそうです。プロによってひとたび適正価格に向けたシナリオが作られてしまうと、圧倒的な資金量をもった相手に対して、少数の個人トレーダーが挑むことは無謀です。

 

そのため、本書では、機関投資家が適正価格を予測しにくい分野を選んで、テクニカル分析主体で売買をすることを推奨しています。

 

 

 

4.PERの落とし穴?適正価格は直近のPERだけを見るだけでは不十分

機関投資家は未来のPERを分析する

この本から得られる大きな学びはもう1つあります。

 

それは、私たちがファンダメンタル分析をして適正価格を計算したいと思った時に、株価の割安/割高/適正価格は、直近のPERを見るだけでは分からないという解説です。

 

見るべき大事なポイントは「未来の業績予想」と「その信ぴょう性」です。機関投資家は、直近のPERではなく、未来のPERに対して割安・割高を判断して売買をします。つまり、来期・3年後・5年後のPER予想数値や、企業が発表した中期経営計画を、市場環境や製品の優位性、経営者の資質、財務などから分析します。(信用の調査は、口座の開設審査や住宅ローンの審査などと同じで、機関の得意分野ですね)

 

これらのことから、PERによる適正価格の分析は、確実に時間がかかる」ということに私たちは気づきます。

 

 

スマホの1画面でのPERを信じすぎないように

私たち個人のトレーダーが、スマホの1画面に表示されている直近のPERだけを見て「あっ、割安だ!」とすぐに買い向かう行動はとても危ない行動だと言えます。予想PERについてもっと深く知りたい方は、『ファンダメンタル投資の教科書』に詳しく書かれているのでオススメです。

 

具体的に適正価格を調べるなら、未来のPERが分かる資料を探して計算をして、同業種の他の企業ともPERを比較するなど、時間をかける必要があると感じます。(そうなると、株の不労所得なんて夢のまた夢で、分析はれっきとした労働ですね!)

 

著者は、機関との情報格差が限りなく0に近いフィールドを選び、ファンダメンタル分析で勝負しないトレードスタイルを推奨しています。具体的には、

  1. 資源/素材/金融セクターなどの市況株
  2. 必要最小限のファンダメンタル分析で選別して
  3. テクニカル分析で売買タイミングを見つける

という手法です。

 

この手法の手順と考察は、第3回の記事で取り扱う予定です。

 

 

5.中間のまとめ

今日は、個人投資家が機関投資家に先んじて利益を得たビットコインやゲームストップ株の事例を振り返り、相手に適正価格を握られないフィールドでトレードをする必要性を確認しました。

 

次回は、この本から機関投資家の考え方や行動原理を、一歩踏み込んで読み取ります。ベンチマーク、アクティブファンド、パッシブファンドなどの用語を確認して、時価総額の大きな個別銘柄を選ぶことの重要性を案内します。

 

早く内容を知りたい」という方はこちらから本を購入できます。

 

 

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