このサイトでは、毎週木曜日と日曜日に、投資・トレードの記事投稿を目指しています。投資本の紹介や考察、トレードの勉強法、売買ルールの作り方を扱っています。
今日の記事は、
- 投資の情報を発信したい人。
- SNS・ブログ・Youtube等で一目均衡表の情報発信をしたい人。
- 一目均衡表の現状を知りたい人。
- 投資以外にも「知識や技術を教える仕事」で、独自のブランドを守りたい人
に関係があります。
個人投資家にとって、「どんな人が発信しているのか?」を考えるキッカケになります。
1.商標権とは?
商標権のキホン
商標権は、主にロゴと文字列を使用する権利を守ります。先に申請をした人が優先される、早い者勝ちの制度です。
イメージしやすい例では、スターバックスのロゴマークや公文式の教育メソッドなどが挙げられます。
商標権を取得していれば、質が悪い製品やサービスと区別することができ、品質・ブランド・オペレーションへの信頼を守ることができます。
2.商標権の区分
商標区分は45種類
商標には45種類の区分があります。提供する商品やサービスに合う区分だけを、戦略的に選んで申請をします。申請する数が増えた分だけ費用もかかります。
知識の提供に関する商標区分
知識の情報発信をする人が注目すべき商標区分は、次の3つです。
- 第16類→紙ベースの出版物
- 第41類→オンライン発信
- 第9類→オンライン発信
これらを含めて、関わりが深い区分を見てみましょう。
第16類(紙・文房具)
<印刷物>
紙の書籍・ニューズレター・ハンドブック・漫画本・小冊子、紙製の文房具・筆記用具
第41類(オンライン・セミナー)
ダウンロードされることを前提としないオンライン情報発信をカバーします。
-
オンラインによる映像の提供。セミナーの企画・運営・または開催
-
電子出版物(=電子書籍/電子テキスト)の制作提供
-
通信教育による知識の教授(eラーニング、youtubeでの解説、ココナラ等での個別解説、その他個人発信メディアのライブ配信、録画映像の配信、練習問題の提供)
- ラジオ及びテレビジョンによる番組制作
第9類(オンライン・記録媒体)
ダウンロードされることを前提としたオンライン情報発信や、あらかじめ内容が記録された記録媒体をカバーします。
- 電子出版物(ダウンロード可能)
- 記録媒体、コンピュータソフトウェア、アプリケーション。録音/録画済みCD、DVD、BD)
- ソフトウェアやプログラム
第42類(プログラム)
電子計算機(※)用プログラムの設計、作成または保守
※パソコンやスマホ等のこと
第35類(広告物)
広告物の作成(看板やネオンサイン等を含む)
広告物の出版
ラジオ及びテレビジョン広告
第38類(チャット)
ボイスメール、チャット通信
第36類(金融知識)
金融知識の提供
3.一目均衡表のオンライン解説は違法!?4つの視点から考える
情報発信をする側からすると、「youtubeやブログで、一目均衡表の情報発信をするのは違法?」と不安になる事もあると思います。
結論から言うと、商標権から見た現状では、未許可の紙ベースの出版物は確実に違法ですが、オンラインでの一目均衡表の情報発信は合法と言えそうです。
こう考えられる理由を一つずつ見ていきましょう。
(1)商標登録は第16類だけ
2022年8月現在、「株式会社経済変動総研」が商標登録をしている「一目均衡表」の商標は、紙ベースのテキストを対象とした第16類のみが申請されています。他の区分は申請されていません。
つまり、未許可で「一目均衡表」という名前を付けた紙の本を出版するのは、確実に商標権の侵害となります。
(2)第9類/第41類/第38類が未申請
電子出版物やオンラインでの商標を守る、第9類と第41類が登録されていません。
これにより、「一目均衡表」とタイトルを付けたオンライン解説は合法と考えられます。
同じように、チャットによる解説(第38類)やプログラム作成販売(第42類)も、商標登録がされていません。この分野でも、個人投資家やアナリストが比較的自由に発信できると言えます。
つまり、「一目均衡表」の名前を使って、
- kindle出版
- ココナラでの解説
- Youtubeでの解説
- ブログでの解説
等を行う事は、合法であると考えられます。
(3)「著作権」は全てに適用
商標権としては合法でも、著作権ではアウトになる場合はあります。これは紙もデジタルも同じです。
「一目均衡表」の著作権は経済変動総研が持っていますので、運よく、今は絶版になっている一目均衡表の原著を手に入れた人が、「全冊まるごと、一目均衡表徹底解説全30回シリーズ」と題してブログで要約記事を出すのは、著作権的にアウトです(翻案権の侵害)。
どんな情報も、一次情報の出典を明らかにして、引用の範囲を超えないことが必要です。目安としては、引用3割、独自の解釈/分析/考察7割を基準にしている人もいます。
逆に言えば、著作権における引用の範囲を守れば、どんなデタラメな独自解釈の情報発信をしてもやりたい放題です。詐欺ツールの宣伝や、後付け解説のためだけに一目均衡表を引き合いに出すこともできるので、個人投資家にとっては要注意だと思っています。
(4)オリジナル用語ならやりたい放題……
「商標権が面倒!」という解説者が、そもそも「一目均衡表」という名称を出さない抜け道を使うこともあります。「一目活人術、ワンアイズ・バランサー・メソッド。クラウドチャーティング」など、何でもありです。「一目均衡」という黒寄りのグレーゾーンを狙う人もいるようです。
【結論】現状の最適解はこれ!
以上から、現状で「一目均衡表」の名称を使って情報発信をする場合は、次の項目を守った情報発信のやり方が最適解だと考えられます。
- 紙ベースの出版は絶対にしない。
- オンラインで情報発信をする。
- 引用の範囲を守る(情報の引用元を明記して、独自の考察や検証を含める)。
これらを守れば、kindle出版・ブログ・Youtube・ココナラでのオンラインの情報発信は、商標権や著作権などの法律を守って行えると考えられます。
今や解説者や解釈法が乱立している状態ですので、正統派の一目均衡表の解説者を知っておくことは、長い目で見ればとても大事です。こちらの過去記事で、信頼できる本と解説者を紹介しているので、参考にしてください。
4.【発展】私たちの仕事にどう活かす?
今日はコラムですので、投資から少し離れて、本業と副業の「ブランド化」についても話をしてみます。
私たちが知識や技術の提供を仕事にする時、商品/サービスに特別な名前を付けてブランド化をすれば、その価値を高められます。
本業と副業で覚えておくと役に立つ商標権
知識や技術の提供について、独自のオリジナルメソッドを保護したいなら、次の商標の取得は必須と言えます。
- 第16類(紙の出版物)
- 第9類(オンライン解説、CD/DVD)
- 第41類(オンライン解説、オンラインセミナー)
- 第42類(プログラム作成)
これらを取得して守る必要があるのは、努力して創ったサービスを乗っ取ろうとする人がいるからです。
商標の乗っ取りビジネスは他人事ではない
過去には、申請が早い者勝ちの商標の仕組みを利用して、他社のブランドを自分のものにして乗っ取る事例もあります(手続き自体は合法で真っ当なやり方です)。大事なことは、敵意をもって商標を取得する人がいることを知り、その防衛策をちゃんと知ることだと思います。
事例としては、株式会社gramや堂島プレミアムの例が有名です。手続きが正当であれば、仕組みを乗っ取られてしまいます。大事な事なので何度も言いますが、オンラインの知識技術の提供を保護するために、第9類もしくは第41類の商標の取得は必須です。
エリオット波動の商標は?
最後に、商標保護の良い事例として、エリオット波動の商標を見ておきましょう。「エリオット波動」の商標は登録されていません。ただし、「エリオット波動研究所」と「日本エリオット波動研究所」の商標が登録されています。
こちらは、紙ベースの商標を守る第16類に加えて、オンラインの商標を守る第41類と、金融知識の提供時の商標を守る第36類が、しっかりと取得されています。このため、エリオット波動のオンライン解説自体は商標権の侵害になりませんが、同研究所が発行しているレポートと、品質で勝負をすることになるでしょう。
誰でも解説ができる状態なら、個人投資家にとっては、信頼できる解説者を選ぶことが大事ではないでしょうか?
エリオット波動はとても難解です。簡略化されたザックリ解説は全く役に立ちません。正しい情報は、正しくお金を出す必要があります。まずは、日本語で読めて信頼できる内容のこちらの入門書がおすすめです。
さらに関心と資金があれば、同研究所が発行しているレポートが、月3,000円前後で読めるので、購読をしてみるのもオススメです。(エリオット波動は、プロのアナリストさえ間違った情報を広めている事が指摘されています。本当に気を付けてください)
5.まとめ
商標権からみた一目均衡表の情報発信は、紙ベースは完全にアウト、オンラインでは比較的行えるという解釈ができます。情報発信するときに、法律関係で迷ったら専門家に相談するのが一番確実です。
このサイトでは、投資トレードの本の紹介を中心に記事を書いています。今後とも、権利者の権利を守った情報発信をして、投資やトレードに興味を持って頂けるような記事作りを心掛けていきます。
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