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【古典を学ぶ】 川の流れに人をみる:われてもすゑにあはむとぞおもふの感性

 大河ドラマで『光る君へ』が始まり、ずっとしたかった古典を深める活動を去年から始めています。紫式部と源氏物語のゆかりの地をめぐっていると、昔の人の感性に近づいていると感じる時があります。

 奈良県桜井市にある長谷寺に行った時、近くに川がとても綺麗な川が流れていました。この川の中央に大きな石があり、水の流れが当たって二手に分かれている景色を見て、ふと百人一首に選ばれている和歌が浮かびました。

 

 瀬をはやみ岩にせかるる滝川の

  われても末に逢わんとぞ思う

 

 崇徳院が詠んだ和歌で、「恋しいあの人と別れても、いつかまた会おう」という意味を込めた和歌です。特長的なのは、川の流れを人の姿として見立てていることです。太陽の光が当たってキラキラと光り、それが水の流れに沿って現れては消えをくり返す。今見ているからこそ現われ、夕方や夜になればもう見られない。

 昔の人は、人生を含めて、あらゆる物事が短いことを感じ続ける生活をしていました。短さを受け入れる方法を探す中で、自分よりも長く続いていく自然の風景に感情を託すという感性が磨かれたのだと思います。和歌の中にもそうした心が表れています。

 

 残り続けない、

 移り変わりゆく、

 いつ変化するかも知れず、

 いつまでとどまっているかも知れない、

 一期一会の精神。

 

 短さに戸惑う心のゆらぎの置き所は、言葉によって作ることができるということを、古典の世界は教えてくれているのかもしれません。

 

 

長谷寺…『源氏物語』に出てくる玉鬘(たまかづら)にちなんだ松の名所がある。