このサイトでは、投資とトレードに役立つ本の紹介やコラム記事を投稿しています。毎週木曜日(18時)と日曜日(朝9時)の投稿を目指しています。
- 1.『半導体産業のすべて』
- 2.『半導体業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』
- TIPS:半導体製品の2つの流れ
- 3.『よくわかる最新 半導体プロセスの基本と仕組み』
- 4.『よくわかる最新 パワー半導体の基本と仕組み』
- まとめ
1.『半導体産業のすべて』
数ある半導体関連の本の中で、1冊だけ選ぶならこの本を推奨します!
投資家やトレーダーにとっての一番のメリットは、半導体の製造工程ごとに企業名を分類してくれている点です。
例えば、次のような資料があります。
分野 | 企業名 |
材料(フォトマスク) | フォトロニクス(米国)、大日本印刷、 HOYA、信越化学工業など |
検査プローバ | 東京エレクトロン、東京精密など |
高純度ガス | 大陽日酸、三井化学、エア・ウォーターなど |
高純度薬液 | 三菱ガス化学、三菱化学、トクヤマなど |
製造装置 | ニコン、キャノン、ダイフクなど |
巻末の「半導体メーカーと主要製品一覧」という資料が見どころで、多くの企業名が載っています。投資家やトレーダーにとって、銘柄選びを助けてくれる1冊です。
また、半導体業界の見通しを持つために、次のような情報を知ることができます。
- 元請けからの発注と、商取引の慣習
- 半導体メモリの分野などで、日本の国際競争力が低下した理由
- 厳しい環境下でも、日本のメーカーが、素材・製造装置・パワー半導体の分野で国際競争力を強く持っている理由
税込み2,200円でこれだけの情報量が載っている本は他にありません。
数十冊以上も出版されている半導体関連の本の中では、私が一番おすすめできる1冊です。
2.『半導体業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』
今後の重要テーマが分かる!
中長期で半導体銘柄を保有したい方向けの1冊です。
中長期で銘柄を持ち続けるには、業界の見通しが明るいことの根拠を集めて、ホールドする力を強くすることが必要です。この本には、
- 半導体が使われている「製品」
- 半導体分野で、これから需要が増すと見込まれるテーマ (リニア、自動運転、セキュリティなど)
- 代表的な個別企業の事業内容と強み
- 半導体業界のこれからの動向
が詳しく書かれています。
この本にも半導体企業のリストと解説があります。『半導体産業のすべて』には載っていない企業もリストアップされているので、さらに広範囲の企業の情報をカバーできます。
素材の知識を得るには不向き
この本の注意する点として、製造工程・素材の特徴・動作の仕組みについては、ほとんどが文字で解説されています。たとえば次のような文章が出てきます。
「フォトレジスト」は、シリコンウエハをエッチング加工するのに必要な化学薬剤です。光を当てることで性質が変化する薬品で、ウエハ表面に回路を焼き付けるために使われます。(31ページ)
この文章がイメージできるならスムーズに読み進められます。ただ、イメージが浮かびにくい場合は、先に入門書を読むことがオススメです。
図やイラスト入りのわかりやすい本は、過去のこちらの記事で紹介しています。
この本の企業リストは、ほとんどが有名なトップ大企業です。※その点では、ニッチな会社も取り上げてくれている『半導体産業のすべて』の方が、私としては好みです。
さて、ここからは、基礎を学んだあとに、技術的な知識を深められる2冊を紹介します。技術を知れば、最新情報へのアンテナを高く持つことができます!
TIPS:半導体製品の2つの流れ
半導体を勉強するとよく出てくる用語が「ムーアの法則」です。これは、微細化を推し進める流れで、性能がどんどんと向上するという流れを表したものです。各企業は小さいスペースの上にどれだけ多くの電子回路を載せられるかを競い合ってきました。
これとは別に、「パワー半導体」という分野では、「もっと大きく(大口径化)」することで性能を高める、という特徴があります。
2つの流れが1990年代から現在まで、同時進行しています。ここからは、その2つの流れを勉強できる本を案内します。
3.『よくわかる最新 半導体プロセスの基本と仕組み』
「半導体プロセス」とは、半導体の製造工程のことです。素材の品質や、加工の技術が関わります。入門書よりも、さらに詳しく技術的なことが解説されています。
ムーアの法則と呼ばれるように、微細化を進めることで集積率や性能は高くなります。その技術をより深く知ることができます。
製造工程を詳しく知る → 企業の強みに詳しくなる → 事業の成長と利益率向上を信じる根拠が増える → 個別銘柄をホールドする力が強くなる。
この流れを私は信じて勉強を続けています。
4.『よくわかる最新 パワー半導体の基本と仕組み』
パワー半導体は、
- 太陽光発電
- 発電した電力の送電
- 産業用のポンプ
- 工作機械や電気自動車(EV)のモーター
に使われています。
「大きな電流が流れる製品に使われる」ことや、「速度の調整を行える」ということが特徴です。電気自動車(EV)を思い浮かべると、イメージがしやすいです。
パワー半導体には「電力の変換ができる」という特徴もあり、太陽光発電や風力発電等の次世代エネルギーの分野にも深く関わります。
パワー半導体用の (略) 材料は (略) 高純度多結晶シリコンです。わが国ではトクヤマが主なメーカーです。(113ページ)
こうしたTIPSが書かれているのも良いと感じます。
まとめ
日本の半導体企業の強みは、
- 素材
- 半導体製造装置(※いくつかの工程に分類されています)
- パワー半導体
です。
この記事で紹介した本は、半導体を解説する本の中から、投資・トレード向けに厳選した本です。どんどん読んで、半導体銘柄への中長期投資、そして短期トレードにぜひ活かしてみて下さい!
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※投資やトレードは元本を保証するものではありません。必ずご自身の責任と判断に基づいて行って頂きますようお願い致します。免責事項のページもお読みください。