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【おすすめ朗読】太宰治『海』対馬てみさん、語りかける読み方

6月19日は桜桃忌、7月は海の日がありました。

いま、8月になっても聞き続けたい朗読があります。

 

青森県在住の対馬てみさんによる、最高に上手い朗読動画がアップロードされていたので、ぜひ聞いてみてください。太宰治 海 (aozora.gr.jp)

 

1.太宰治の「語りかける」読みは、これを聞けばいい!

太宰治の文章は、語りかけられるような文体とよく解説されます。そのフレーズを最初に教わった時は、「語りかける」というイメージがなかなか想像できませんでした。ところが、この動画の朗読を聞いた瞬間に、「あの時言われていたのはこれだったのか!」と納得することが出来ました。

 

文章は声に出して読まれることで現在に生き生きと蘇り、他の人にどんどん熱を与えていくものだと感じます。動画では、対馬てみさんの表情にもご注目ください。

(朗読は 2:30から)

 

海が見えるよ。もうすぐ見えるよ。浦島太郎さんの海が見えるよ。

ほらっ! 海だ。ごらん。海だよ、ああ、海だ。ね、大きいだろう、ね、海だよ。

 

子どもに海を見せたい、良いものを与えてあげたいという純粋な思いが伝わります。

 

2.人に元気を与える声って何だろう 

声で元気づける力は、どんな人でも持っている力だと思います。

 

「ほら、見て」とゆびを指せば、人の顔の向きが変わります。

 

言葉を話し始めるより前の幼い子どもにさえ、小さな指で世界を指し示すことができます。「だ」「うあ」と言って指差しをした時の子どもの期待を、大人が「電車だねえ」「わんわんだねえ」とすくい取って、言葉にする手伝いをしています。

 

「見て!」「見て!」と訴える気持ちの強さは、声の力の源だと思います。他の人からすれば何の変哲もない石ころだとしても、「ここに綺麗な石ころがあるよ」と主張する力は、芸術分野の活動を継続するために必須の力だと私は思います。

 

朗読は、作品の言葉を何倍にも引き出してくれる、最高に面白い分野ですよ。