このブログでは、短期スイングトレードをテーマに記事を投稿しています。

この記事では、本決算の決算またぎをする時の判断基準について、
- 経常利益目標のQ3進捗率
- 株主還元の予算額
- 来期の市場規模と業績予想
を材料にする方法を整理しました。
【対象の会社】
株式会社エイチームホールディングス(3662)
決算発表前にどこを見ればこの動きを推測できたのかを振り返ります。
【データ】
- 本決算:2025年9月5日(金)に発表
- 通期の経常利益:対予想比+21.9%
- 決算発表の翌営業日の株価(決算発表当日終値→翌営業日始値):-11.9%
1.決算発表前の期待
エイチームホールディングスについて、決算発表後の上昇を期待できる要素は次の理由でした。
- 株主還元の勢いがあった
- 業績達成率が良かった
Q3の時点で経常利益目標の達成率は97.5%。高確率で通期の目標達成を見込めることから、通期では良い業績を期待できました。
事実、発表された通期の経常利益の達成率は、予想比121.9%のプラスの数値であり、100%超えは予測しやすい状況でしt。
しかし翌営業日の株価は-11.9%と下落しました。
ここに、進捗率以外のファンダメンタルズ要因が関係していたと考えています。それは次の二つの視点です。
- 株主還元の予算額は残っていなかったこと
- 来期の経常利益見通しが減益だったこと
2.来期を中期経営計画書から読み取る
2-1 還元予算に余りはあるか?
ここ最近で株価を大きく上昇させているファンダメンタルズ要因は次の二つです。
- 増配
- 自社株買いの発表
これらを狙って買いエントリーをする場合、株主還元にかける予算に余りがあるかどうかが大事です。
エイチームの中期経営計画を読み取ると、次のように計算ができます。
- 2025年~2028年の株主還元の予算総額:40~50億円
- 今後の還元予定額:約50億円 (配当金22円の還元額+6月の自社株買いの金額、2028年9月期までの配当見込み金額)
| 発行式株式数(株) | 配当(円) | 金額(円) | ||
| 2025年度9月期 | 18,811,135 | 22 | 413,844,970 | ※9/5時点を元にざっくり計算 |
| 2025年6月自社株買い | - | - | 3,374,400,000 | |
| 2026年度9月期 | 18,811,135 | 22 | 413,844,970 | 決算発表前時点 |
| 2027年度9月期 | 18,811,135 | 22 | 413,844,970 | |
| 2028年度9月期 | 18,811,135 | 22 | 413,844,970 | |
| 5,029,779,880 |
この計算結果に基づくと、来期に大幅な増配や自社株買いを行うことは期待はできないとスタンスをとることができます。つまり、2028年9月期の決算発表までは大きなサプライズは起こりにくい見通しです。(2025年9月の年間配当28円への増配発表で計算をしても52億5,000万円)
これが1つ目の材料出尽くしの判断材料です。
2-2 自社株買い実施で上昇エネルギーを使い果たしていないか?
後付けなら何とでも言えるのですが、9月の本決算前に買う/買わないを考えているのはタイミングとしては遅かったです。
値上がり益を狙うべきベストタイミングは2025年4月~6月で、後から振り返ってみればこれも計算で予測できる余地がありました。
仮に2025年6月の自社株買いが発表されていない時点で計算すると、2028年まで1株あたり約60円の配当を4回継続して還元する計算になります。(概算で60円×1880万株×4回≒43億円)
エイチームの総還元性向は100%。シンプルに考えると配当を22円から60円に引き上げるには、当期純利益を約2.7倍に増やす必要があります。これには相当なエネルギーが必要で、配当金で実現するよりも自社株買いをする方がエネルギーは少なくて済みます。
実際、2025年6月の自社株買いの総額の金額は、従来通りの22円の配当を継続して還元予算に近づける水準の数値でした。
この自社株買いで、先ほど見た通りの予算を使い果たし、上昇のためのエネルギーが使われた状態とも捉えることができます。
2-3 過去の勢いを重視しすぎていないか?
「材料出尽くし」のシンプルなフレーズは、「今期が良くて、来期が良くはない」という状態です。
エイチームに当てはめると、
- 今期:「プライム上場を死守」という強いメッセージのもと還元政策を充実させた。
- 来期:経常損益の来期見通しが-43.2%
過ぎた期の株主還元政策の勢いは、来期以降のポジティブサプライズにはあまり関係ありません。還元政策はひと休みで来期は平常運転という経営方針も十分に起こりえます。上昇をするために一旦しゃがみこむ、そういう1年間もあると思います。
経常利益目標が確実に達成されそうとはいえ、決算発表後にさらに株価を上昇させるには 別の理由(未来の業績のプラス予想)が必要ということです。
これを読み取るのはかなり難易度が高いと感じます。
3.決算またぎに必要なファンダメンタル分析の一部
繰り返すと、決算発表翌営業日の株価の動きには次の3要素が関わっていると私は考えています。
- 経常利益の進捗率(Q3で80%以上が◎)
- 還元政策の予算(余っていると◎)
- 来期見通し(経常利益が増益だと◎)
調べる難易度もこの順番と考えています。「1」に加えて「2」の労力をかけることで、短期スイングトレードはさらに上手くなると思っています。
私はこの材料には再現性があると考えていて、2025年5月12日に決算発表をしたクレハ(4023)が、中期経営計画の株主還元予算額を使い切っていない状況での自社株買いと増配発表をしていました。
4.Q3の進捗率85%は欲しい
通期業績の会社予想に対して、私としてはQ3時点で経常利益目標の達成率が85%以上は数字が欲しいです。
それだけあれば、コンセンサスの数値も達成する可能性が見込めて、決算速報には「会社予想を~%上回る、コンセンサスを上回る水準」と書かれる見込みが高いです。
Q3で70%台は買いエントリーの根拠にするには心もとなく、せめて80%の進捗率はあって欲しいです。均等計算では25%,50%,[Q3]75%,100%ですが、そんなにきれいに進捗率が分布することはありません。たまにQ3の経常利益進捗率が50%台→通期100%超えや、Q3が120%台→通期80%といった企業もあり、注意が必要です。
進捗率に加えて、来期の業績見通しが良い会社は決算発表翌日に大幅上昇しています。
- ブックオフホールディングス(9278) Q3進捗率90.7%、発表翌日+3.5%
- 内田洋行(8057) Q3進捗率97.1%、発表翌日+11.5%
※2025年本決算発表
5.まとめ:三つの視点
本決算直前で買いエントリーをして決算またぎをする場合は、次の項目をチェック項目にしています。
- Q3の進捗率が80%以上(85%以上ならさらに良い)
- 株主還元(配当、自己株式の取得)のための予算を使い切っていない
- (調べることができるなら)市場規模が来期も拡大を続ける
決算持越しは、それ専用の方法を作ることができます。
投資とトレードは上達します。