発達障害者には「ユニークなホスピタリティ」があると感じています。診断済みの人達と話していると、音楽・アニメ・写真・プラモデル・絵など、お気に入りの世界を目の前の相手と共有したい願望を強く感じます。
「発達障害とは世界を共有しにくいけれど、芸術分野ならなんとなく共感できそう」という認識が、発達障害イコール芸術肌と感じさせるのかもしれません。あるいは、定型発達環境に対する窮屈さへの反動で、安全基地としての趣味への没頭が加速するのかもしれません。
趣味の話は決して押しつける態度ではなく、多くは「もし良かったら」、「もし気に入れば」という言葉と一緒に届けられます。大切な世界を見せたり差し出したりすることは、友好の合図なのだと私は考えています。
発達障害者が満足した生活を送るためには、「ようこそ、私の世界へ」から、「ようこそ、私たちの世界へ」と言える環境を見つけることが、大事だと私は考えています。
◎今日の1冊
『自閉症だった私へ』ドナ・ウィリアムズ
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自閉症スペクトラム障害の当事者である作者が、生涯を語る1冊です。発行当時に流行していたと推測できる多重人格のテーマも多く入っていますが、中心テーマは「自閉症者が定型発達者の集団の中で、何にストレスを感じ、何に安らぎを感じていたのか」というものです。
冒頭の「ようこそ、私の世界へ」というフレーズが、象徴的で印象的です。
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