浜田廣介さんが書いた『ないたあかおに』は、色々なバージョンが出ているのは知っていますか?
今回は、出版社やイラストレーターごとに違う10種類の魅力をお伝えします。文字だけの文庫版は含めずに、絵本をピックアップしました。
絵本を見比べて、近所の本屋には置いていない、子どもにぴったりの1冊を見つけてみてください。
1.全部ひらがなで3歳から読める絵本
1-1 池田龍雄
全部ひらがなで、3歳から読める絵本です。親しみやすい素朴な絵柄で、昔の人の生活に沿った淡い色合いが特徴の絵本です。多くの子どもに受け入れられすい定番のおすすめの一冊です
1-2 岩本康之亮
この記事の中では一番かんたんな絵本です。全部ひらがなで、3歳から読めます。文字が短くされていて、子どもにもわかりやすい言葉に変えてくれています。
ページをめくると黄・青・紫と色合いがどんどん変わるので、適度に刺激があって、子どもが集中力を切らすことなく読み進められます。赤鬼が笑ったり怒ったり、表情の変化がわかりやすいです。
2.恐くない鬼の絵本
2-1 いもとようこ
いもとようこさんは、温かみのある動物の絵本を多く描いている作家さんです。
光と影の表現がとても上手く、水彩画のにじみを活かした柔らかい表現が特徴です。
熱烈なファンの人も多いのではないでしょうか? 赤鬼がうれしい時の表情は、嬉しい気持ちがこちらにも伝わってきます。
2-2 つちだのぶこ
2016年に出た一番新しいバージョンの絵本です。赤鬼や村人の顔が、丸くてふっくらしていて、親しみやすい絵柄が特徴です。笑った顔、怒った顔、泣いている顔と、表情の変化がわかりやすいです。
3.聞く力をグングン伸ばす
3-1 朗読CD『浜田広介 名作選集』
朗読は中井和哉さん。『銀魂』の土方十四郎、『ONE PIECE』のロロノア・ゾロの声の人ですよ!
朗読CDは、シーンに合わせた効果音や、活き活きとした会話が、話の理解を助けてくれます。お話に慣れていない子でも、楽しく聞くことができます。
CDの朗読を流しながら絵本を読むことで、「聞く練習」と「読む練習」ができる一石二鳥の作品です。小学校では授業で習う機会が少ない、聞き取りテストの対策にも使えます。
読み上げられている文章は、全文が載っている梶山俊夫さんのバージョンです。
3-2 梶山俊夫(聞き取りテスト対策にも最適)
絵柄は痩せた赤鬼や、こけて日焼けしている村人など、今風ではないですが、原作に忠実に絵を付けていて、原作全文を載せている事が最大の特徴です。本文にある「角のあとらしい、とがったもの」という文に沿って、中途半端な角を描いているのはこの絵本だけです。
文章量は一番多いので、年長や小学校に上がってから、上の朗読CDと一緒に読んで、聞いて、国語力アップの教材として使うことがおすすめです。
4.nakaban
アニメーション作家らしい作風で、見開き2ページの全体を1枚の絵として楽しめます。クレヨンで書いた優しいタッチの絵や、絵本では珍しい版画風のページもあります。
最後のページの青色の使い方は、悲しい気持ちや相手を思う気持ちを、青色にのせて読者に訴えかける力があるので、一度見てみる価値があります。
5.赤坂三好
1989年に出版された 少し古い絵本ですが、今読んでも親しみやすい絵柄です。『むくどりのゆめ』、『赤いろうそくと人魚』と合わせ、全部でなんと4作品も入っています。
その上に、親子で遊べる歌遊びや、手作り楽器作りなどが紹介されているので、この1冊で色々と楽しめる、お得な絵本です。
6.浦沢直樹(漫画家)
ただし、1つだけ大きなデメリットがあり、物語の最後で赤鬼の顔を下からのぞき込み、でかでかと泣き顔を見せるカメラワークには強烈な違和感を覚えます。喜怒哀楽の絵のギャップが強すぎて、想像力が入り込む余地はあまり残されていません。
子どもが読むよりは、漫画が好きな大人が、漫画として楽しむ作品です。
7.藤城清治(影絵作家)
大人のためのごほうび絵本DVDです。藤城清治さんは90代現役の影絵作家で、色の付いた影絵作品が楽しめます。眺める用の芸術作品です。DVDなので、子どもが破ったり、舐めたりする心配もありません。
藤城誠治さんは『人魚姫』や『ブレーメンの音楽隊』など、童話を元にした影絵作品をたくさん発表しています。毎年、展覧会も開催されています。キラキラした光を表現したイラストが好きな人におすすめです。
さいごに
文章は同じでも、絵を描く人が変われば、絵本の印象も大きく変わります。
珍しい朗読CDでは、蝉の鳴き声や活き活きとした村人の会話が流れます。話の内容が臨場感たっぷりに伝わってくるので、子どもが好きな絵本の世界を、もっと広げてあげられます。
ネットで検索する時は、「泣いた/ないた」や「赤鬼/赤おに」など、漢字とひらがなを正確に入力しないと出てこない場合があるので、気を付けてくださいね。
ぜひ、子どもにピッタリの1冊を選んであげてみてください。