このサイトでは、毎週木曜日と日曜日に、投資・トレードの記事投稿を目指しています。おすすめ本の紹介を中心に、効果的な投資トレードの勉強法や、ルールの作り方を扱っています。
長期投資に比べると、短期トレードでは、日々の意思決定をする機会が連続してやってきます。
私はトレードで利益を得るためには「意思決定意欲」が必要だと考えています。今日は、「意思決定意欲」と、それを奪う「ニュース依存」と「学習性無力感」について考えました。
- 1.ニュースは後追いで作られる
- 2.私が気になるニュース
- 3.ニュース依存を生み出す学習性無力感
- 4.意思決定意欲を持ち続ける
- 5.考えるヒント
- 6.投資トレードに役立てるメディアリテラシーをつける3冊
- 7.まとめ
1.ニュースは後追いで作られる
ニュースを流して得をするのは、ニュースを流している主体です。
例えば、次のようなメッセージがあります。
- 証券会社や銀行「現金にしておくなんてもったいない(買って!)」
- 食品メーカー「この栄養素が足りてません(買って!)」
- イベントの企画者「大盛況です!残りわずか!(買って!)」
発信者が伝えたい結論やシナリオが最初にあり、それに合わせて都合の良いデータが使われます。
経済ニュースも、大手の証券会社やコンサル、機関投資家が、それぞれにとって都合よく儲けるために、次々と新しいニュースを流しているように感じます。
2.私が気になるニュース
2022年の2月に流れた次のニュースは、私の心にモヤモヤを残しています。簡単に言うと「株価は上がる(ただしリセッション期は除く)」というニュースです。
ミスラブ・マテイカ氏が率いる同行ストラテジストによれば、シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)が1カ月移動平均を50%余り上回る水準に上昇した場合に買いシグナルが現れる。この指標は過去30年間にわたり、リセッション(景気後退)期を除けば100%正確だという。
自分でも不思議なのですが、昨日今日の相場市況によって、このニュースの捉え方が変わっています。
ダウ平均や日経平均が下がってる1週間は「ニュースなんて当てにならない」と感じますし、逆に指数が上がっている1週間は「やっぱり正しかったかもしれない」と感じるのです。
こうしてニュースの評価がブレブレになっている理由を考えると、「判断できない情報に対して学習性無力感を感じて、ニュース依存の状態になっているしれないから」と考えました。
3.ニュース依存を生み出す学習性無力感
相場は人に無力感を感じさせるにはピッタリの環境だと感じます。
利益と損失。衝撃的なニュース、絶望、悔しい悲しい、判断が誤っていたという自責の念。決断を否定され、自分で状況をコントロールできない時間があまりにも続くと、主体的に行動することをやめて、自分の頭で考えなくなって、判断を威勢の良いyoutuberや投資顧問に依存しやすくなります。
ちなみに、洗脳では、徹底的に相手に自己否定をさせて、価値観を完全に崩壊させてから、新しい価値観を植え付けるのが定番のスタイルのようです。
4.意思決定意欲を持ち続ける
学習性無力感を避ける方法
短期スイングトレードを休みながらも長く続けるには、何よりも無力感に心を支配されないことが大事だと感じています。
自分の行動を振り返ると、次の行動は、意思決定意欲を手放さないことにけっこう役に立っています。
- 成行注文ではなく指値注文をする
- YoutubeやSNSは数を絞る。参考にする優先度をつける
- 利益確定ラインと損切確定ラインが分かりやすい銘柄にエントリーする。
- トレード用資金の30%から50%程度で売買をする
私がトレードを楽しめている理由
トレードが楽しいと感じられることも、学習性無力感を予防してくれている大きな要素だと思います。
ありがたいことに、今の私はトレードを楽しいと感じられています。これは、利益と損失の結果以外に、満足する要素があるからだと思います。
- 分からないことを分かるようにするプロセスが楽しいこと
- 相場で利益を得られた時に、お気に入りの缶コーヒーや銭湯代など、物やサービスに変えて満足できること。
- 自分の心の揺れ動きを振り返る経験が、いまだに新鮮に感じられること
投資系youtubeの人を見ていると、利益を趣味の車や音楽機材につぎ込んで充実した時間を過ごしている方がいます。利益を得ることと同じぐらい、お金を使うこともけっこう大事だなーと感じる今日この頃です。
5.考えるヒント
統計の本に、ニュースの判断に使えそうなものが多く見つかったので、紹介します。
チェリーピッキング(いいとこどり)
情報を発信する側にとって、都合の良いデータだけをいいとこどりして、誇張して伝えることです。
あたかも1つの要因で事象全体を説明できるように話したり、それが万能な解決法であるかのように強調したりするやり方です。
Publish or Perish
直訳すれば「論文を書け、でなければ消え去れ」です。研究者の立場を現す言葉として使われます。
研究者が発表する論文は、研究者本人にとっても、所属する研究機関にとっても、必ず成果を示す必要があります。成果を示さない論文ばかり発表していも、契約を切られてしまいます。
そのため、発表されている論文は、ほぼ成果を示すものです。論文の中身をちゃんと読んで、結果だけではなく研究の手法(母数、対象群、再現性)などを調べることが大事です。
サンプルの偏り
調べたデータの全体の数を母数と言います。ニュースの見出しや広告記事を読む時は、その数値は母数がどのような数値なのかを判断する必要があります。
次のようなポイントでチェックしたいです。
<データを作る時の操作>
- 母集団が少ない。偏っている。
- 質問内容に誘導がある
- 得をする団体があるか
<視聴率やPVのための印象操作>
- 文字の装飾がド派手か
- 刺激的で、意外性があって面白いか
<解釈の操作>
- 「増加、減少」という見出しの記事は、いつと比べているか?
- 絶対値とパーセンテージ、どちらで読ませるか。
- 因果関係なのか相関関係なのか
- 数値は大きいのか少ないのか
6.投資トレードに役立てるメディアリテラシーをつける3冊
ニュースから受ける動揺を減らすためには、メディアへの100%の信用を一度手放すことが必要だと思います。
次の3冊は、トレードを劇的に変えることはありませんが、ニュースの作り手の意図や制約は何かを考えるキッカケになる本です。
『ニュースダイエット』
ニュースの作り手の意図がよくわかる一冊です。
テレビ局は、放送枠を埋められるのであれば、何でもニュースにします。
参考にするニュース媒体を選び、自分の頭で考えることを推奨しています。
『COUNTING』
- 犯罪予測アルゴリズムで犯罪率が高いとされた地域に警察が多く配置され、結果として、さらにその地域の犯罪検挙率が高まる事例。
- アンケートで、答える直前にニュースなどを見た刺激が回答結果に影響を与えるプライミング効果がある事例。
数字が作られるストーリーに目を向けて、表れる数字自体はいくらでも操作できることを教えてくれます。
『ニュースの数字をどう読むか』
はずれ値を取ってきたり、ある特定の開始点を使ったり(中略)都合のいい数字だけをいいとこ取りするのです。
統計学の基本用語をわかりやすく解説してくれています。「帰無仮説」や「統計的に優位」など、1回読んだだけではすこし難しくて分からないこともありますが、データの扱い方を学ぶためのとっかかりになる一冊です。
7.まとめ
衝撃的でスケールが大きすぎるニュースは、私たちに無力感を感じさせます。無力感に支配されてニュース依存の状態になることを防ぐ必要があります。
これからも、トレードで意思決定意欲を持ち続けるための行動や考え方を、探して増やしていきたいです。
*1:JPモルガン、ほぼ100%間違いないシグナルと説明-株式は今が買い - Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-02-08/R6ZN98T0AFB601