投資には「国策に売りなし」という格言があります。国策テーマを事前に知っておけば投資チャンスが広がります。
今日は、環境省が主体の「循環経済」関連ビジネスのうち、「金属リサイクル」をテーマに、金属のことがもっとよく分かるオススメの本を紹介します。
1.国策「循環経済」関連ビジネスは2030年に向けて80兆円へ市場規模拡大
直近の発表資料(ファンダメンタルズ)
2022年8月25日に、環境省の循環型社会部会で使われた資料が公表されました。
注目点は、「循環経済」関連ビジネスを、2030年に向けて、現在の50兆円から80兆円規模へ規模拡大する工程表が発表された点です。(※最後の106ページ)
循環型社会をテーマに、金属リサイクル処理の推進に加え、バイオマスや環境に配慮した建設材なども取り上げられています。
相場環境は追い風
2022年上旬には、戦争をきっかけに世界中で金属価格が高騰しました。国外の金属資源に依存することへの危機意識が高まっている現状から、今後の日本国内の金属リサイクル業界には、引き続き追い風が吹くと考えられます。
また、国際的に推進されているSDGsは、2030年を区切りの目標年にしているので、「循環経済ビジネス」は、まだまだこれから伸びることが見込まれる分野だと考えられます。
2.注目すべき素材と製品
公表資料では、次の素材と製品が取り上げられていたので注目です。
重点分野にされている素材群
重点的に取り上げられたのは次の素材です。
- プラスチック
- バイオマス関連
- ベースメタル(銅・亜鉛・アルミニウムなど)、レアメタル(ニッケル・コバルトなど)
- 土石・建設材料
- 温暖化対策等により新たに普及した製品や素材
明記された製品群
製品についても、資料の中で明記されていました。
- 建築資材
- 自動車
- リチウムイオン電池(LIB)(→リサイクル関連で、電炉銘柄も良いかもしれません)
ここからは、素材の中でも、金属のことがよく分かるおすすめの本を紹介します。どの本も、必要な内容がギュッと詰まっている良書です。
3.金属を知るには、この本がおすすめ
(1)最新金属の基本がわかる事典
新日本製鉄に努めた経歴をもつ「マテリアルマニア」の著者が、幅広い分野の金属の特徴から、産業資源としての流通状況、サプライチェーンまで詳しく解説しています。
製錬方法や加工技術、腐食防触についても書かれているので、個別企業の独自技術のIR内容を精査する時にも使用できます。
詳しく書かれた本のメリットは、素材関連のニュースが流れた時に、トレード銘柄を連想する力を高められることです。例えば、事前に興味を持って調べていれば、
- チタン→航空機→東邦チタニウム(5727)
- アルミニウム→日本軽金属HD(5703)
などがパッと思い浮かぶようになります。
事典というだけあって値段は約3,300円(+税)と高いですが、「大は小を兼ねる」という言葉がぴったりで、使われている製品や金属の性質について気になった時に読むと、たいていは探している内容が書かれています。
1冊持っていれば、土日の銘柄発掘にも利用できます。
(2)貴金属の知られざる科学
お手頃価格の新書です。
初めて貴金属の本を読む人も読みやすい本です。貴金属の生産・加工・産業利用など、基本的な情報を幅広く知ることができます。
(3)図解よくわかる「都市鉱山」開発
タイトルの通り、都市鉱山に焦点を当てている数少ない本です。「レアメタルの回収状況」が重点的に解説されています。レアメタル/レアアースの詳細解説よりも、リサイクルの解説に重点が置かれています。
この本の良いところは、回収を邪魔する4つの要因がハッキリと解説されていることです。例えば、「回収量より廃棄物の方が多い」という問題や、そもそも「回収元の資源の山を集めることにコストがかかる」などの課題です。
「こうした「回収の壁」を打ち破るサービスを提供できる企業はどこか?」という視点と、「今後に30兆円規模で資金が追加投入される」という視点を合わせることで、資金が行き着く先が予測しやすくなりそうです。とても読みやすく、おすすめの1冊です。
(4)すごい!希少金属
レアアースとレアメタルに特化した1冊です。
本書では、レアメタル/レアアースの性質の基本と、産業製品との関わりが詳しく書かれています。
- 世界の埋蔵量・生産量
- 使われている産業製品
- 日本の都市鉱山戦略
- レアメタル30元素、レアアース17元素のざっくり早わかり解説
これ1冊だけで、レアメタルとレアアースの全体知識が手に入ります。名前を知っている状態から、より深い知識を持っている状態に成長できます。
また、「産業用で使われる金属はほとんどが合金(金属同士を合わせたもの)です」など、ちょっとした重要な知識も手に入れることができます。
(5)対TOPIX業種指数チャートの動きに乗る個人投資家のための「市況株短期トレード」
素材(金属・非鉄金属)セクターのトレード手法を解説しています。持っている知識を投資とトレードの実践に活かすための1冊です。
「機関投資家が手を付けにくい素材関連株の特徴」や、「個人トレーダーが実践しやすいTOPIXを利用した順張りトレードの方法」が解説され、個人投資家の活動を後押ししてくれます。
4.まとめ
金属リサイクルをはじめとする「循環経済ビジネス」は国策テーマになっています。金属を含む素材銘柄を投資やトレードの対象にしてみるのかいかがでしょうか?
今後このブログでは、機会があるごとに、金属・非鉄金属などの素材関連の記事を本の紹介と合わせて作成していく予定です。
素材関連は応用される業種が幅広く、興味が尽きることがありません。知ること自体がとても面白いので、気になった本があればぜひ手元に置いてみて、貴金属や非鉄金属、レアメタル/レアアースの学びを、実践に活かしてみてください。
投資とトレードは上達します!