トレーダーと投資家のための、本の解説シリーズです。
日経平均株価が急落した日、空売りやダブルインバースに目が向きますよね。空売りの本を選ぶ時に参考にしてください。
この本は、駆け出しの個人投資家・トレーダーの人には不向きかもしれません。空売りの知識は増えますが、証券会社の人が、個人投資家のためではなく証券会社寄りの立場で書いている本と意識して読む必要があります。
※先に免責事項(リンク)をお読みいただき、最終的な投資決定はご自身の判断で行っていただきますよう、お願い致します。
1.本の特徴
- 第1,2章:空売りのメリット
- 第3章:信用取引のしくみ
- 第4章:信用二階建てのすすめ
- 第5章:スクリーニング
- 第6,7章:優待つなぎ売り
- 第8章:レバレッジETFの売買
- ※2019年12月が初版です。
空売りの入門書として、基本的な内容は十分です。薄くて読みやすいのも良いです。
ネット上に無料で同じような情報があるので、似たり寄ったりの内容だと感じます。もう個人youtuberがほとんど同じことを説明してくれています。
2.読む時の注意点
2-1.信用二階建て投資を案内している
本の著者はSBI証券に関わる人です。証券会社は個人投資家が資金を動かせば動かすほど手数料が儲かります。やや疑った見方をするなら、「効率・レバレッジ・チャンス・機会損失・老後2000万円問題」を話題にするのは、気持ちを揺らがせにかかる営業手法かもしれません。
例えば、108ページの「塩漬け株を有効化しよう」というところ。つなぎ売りの説明の続きで、塩漬け株を担保にする、信用二階建て投資を案内しています。
少し調べれば、信用二階建て投資がどれほどハイリスクで危険なことか分かります。
これを初心者向けの本に載せるのは不親切だと感じます。
2-2.ダブルインバースの減価を説明していない
189ページで、1357(日経平均ダブルインバース)を勧めています。1357は信託報酬やロールオーバーコストがかかり、中長期保有すると減価するしくみです。
レバレッジ商品を勧めておいて、減価のしくみを説明しないのは、とても不親切です。細かなことですが、こういうところに、証券会社側の人の立ち位置が見えます。
減価については、以下のリンクに載っています。ETFの概要 | 日本取引所グループ (jpx.co.jp)
売買する前に調べないのは自己責任と言われたらそれまでですが……
3.出版社と著者に望むこと
初心者に向けた本を出すなら、
- エントリーの根拠
- いつ手仕舞いをするのか
- レバレッジをかけた時に、資金管理をどう考えるのか
を、もっと詳しく書いて欲しいと感じました。
4.管理者のおすすめ
空売りを本で学ぶなら、こちらの記事で紹介した本がおすすめです。
【投資本001】『株カラ売り5つの戦術』今は空売りを学ぶ絶好のタイミング!? - 生活を豊かにする、本と言葉とオーディオドラマのブログ (maruyoshi30.net)
また、個人投資家・トレーダーの味方になるのは、証券会社の人よりも個人youtuberです。参考に視聴してみてください。
<草食系投資家LoK Re:>
株初心者向け 失敗しない空売り・ダブルインバース買いのやり方。投資の勉強 - YouTube
1357ダブルインバースで利益を出す方法!減価の仕組みとは?投資の勉強 - YouTube
<上岡正明>
【信用取引で2度破産しかけた恐怖体験】5億稼いだ投資家だからわかる信用取引活用術と厳守すべきリスク管理法 - YouTube
まとめ
この本は、空売りの基本を知るだけなら十分です。
初心者向けの本としては、リスク管理の説明が少ないのでやや不親切だと感じます。
空売りの本を買おうか迷っているなら、まずネット上の無料情報の検索から始めてみてください。
トレード・投資は上達します!