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【投資コラム】一目均衡表は10年後に残っているだろうか?原著絶版と著作権から考える

このサイトでは、毎週木曜日と日曜日に、投資・トレードの記事投稿を目指しています。投資本の紹介と考察、トレードの勉強法、売買ルールの作り方を扱っています。

サムネイル,投資コラム,一目均衡表と著作権

一目均衡表について、著作権と商標権を調べていると意外な事実が見つかりました。
 
第1回は、情報を受けとる側の立場から、「一目均衡表の概要と、まっとうな教材や講師の見極め方」について考えます。第2回は、情報を発信する側から、「商標権から見て、一目均衡表(R)のオンライン解説は違法なのか?」を考えます。
 
※この記事では、特殊文字による文字化けを防ぐために、商標権のマークを代理的に(R)と表示しています。

 

 

 

1.一目均衡表(R)とは?

一目均衡表(R)の概要

一目均衡表は、次のような歴史の流れがあります。

  • 開発者:細田悟一氏(別名、一目山人)
  • 現在の後継者:細田哲生氏(別名、三世一目山人)。孫にあたる方です。

一目均衡表の特徴は次のようなものがあります。

  • 時間論・値幅観測論・波動論で、目標株価や転換点を分析する。

 

 

原著はどれ?

一目均衡表の原著は、細田悟一氏が書いた『一目均衡表』です。

現在は絶版になっていて、中古市場では1冊数万円と高騰しています。残念ながら、国立国会図書館でもデジタル化がされていません。

 

 

正統派の初心者向けの本はどれ?

原著が手に入りにくい以上、一目均衡表を知るには、すぐに買える次の2冊がおすすめです。

 

 

一目均衡表の歴史を確実に汲んでいる本としては、細田哲生氏自身が原著を踏まえて解説した『一目均衡表の原理』があります。

 

投資初心者の方向けには、細田哲生氏が監修をして福永博之氏が書いた『FX一目均衡表ベーシックマスターブック』です。こちらは初めて一目均衡表を学ぶ人にとって、とても分かりやすい本です。※個別株や指数にも活用できます。

 

細田哲生氏が関わっている本が、学びの王道と言えるでしょう。

 

 

2.個人投資家が、講師の真偽を判別できないマズイ状況?

原著絶版による悪影響

原著が気軽に読めないと、次のような事が起こります。

  • 大勢の人が言っていることが正しい一目均衡表だとされる。(その大勢とはyoutuber、ブロガー、アナリストなど)
  • それぞれの講師が教える内容を、後から検証できない。
  • 誤った解釈法の投資プログラムツールや情報商材に対して、間違っていることの指摘ができない。

つまり、「当たっても当たらなくても、ツールを売れれば良い」という人達が、投資初心者の方向けに情報商材を売りつけるなどの被害が出ます。

 

 

結局、信じる人が多いなら勝つ?

テクニカル指標は、信じている人が多いものほど支持抵抗線として効きやすくなります。結局は、指標を使う側にとっては、細かい注釈や歴史よりも、同じように指標を使ってくれる人が増えることの方が大事とも言えます。そうなると、マーケティングの上手い人が有利なので、みんなでインフルエンサーを目指そう!という流れになるのは止められないと思います。

 

そして、十数年の長期で考えた時には、デタラメな解説が増えると「一目均衡表は本当にまっとうな指標なのか?」という個人投資家の不信感が積み重なり、ゆくゆく使用者は減ってしまうのではないかと考えています。

 

 

 

3.「一目均衡表(R)」と著作権

著作権侵害になる行動

誰でも本を出せば著作権をもてます。どんなデタラメな内容でも、ある意味、間違っていることによる独自性が認められます。

 

次の行為は違法で、損害賠償の対象になる可能性があります。

  • 本を1ページずつめくる動画を複数回に分けて、youtubeにアップロードする。
  • 本を図解してSNSで発表する(翻案権)
  • 本をPDF化してフリマサイトで販売

どれも、著者の利益を奪っています。本を買うと著者には印税が入りますが、勝手に本の全部を要約されて発表されると、著者には1円も入りません。

 

誰でも情報発信ができる時代には、何がオリジナルなのか分からない状態というのは、非常にマズイ状況だと、私は思います。

 

 

投資手法と著作権

よく「アイディアだけでは著作権は認められない」と言われます。投資プログラムツールを作ったり、教育プログラムを作ったりと、「具体的な表現」にしてはじめて著作権が保護されます。

 

一目均衡表の場合は、基準線や転換線の計算方法は、今や広く知られている数式であり、その解説自体の違法性は低そうです。これが証券会社のチャートの話になると、色や配置のデザインは具体的な表現になるので、そのままコピペして使うのはマズそうです。(TradingViewの特例のように、各社で規約があります)

 

そして、特別な名前をタイトルに使って投資解説ができるかどうかは、次回の「商標権」が大きく関わってきます。

 

 

 

4.中間のまとめ

一目均衡表は原著が絶版になっているため、何が正しい解釈方法なのか、多くの人が分からない状況です。

 

今後、一目均衡表については「大勢のみんなが言っていることが正しい」状況が進むと考えられます。解説の真偽を判断するには、正当な流れを汲んだ本を読むことが必要だと私は考えています。

 

次回の第2回では、商標権と一目均衡表の関係を見つつ、一目均衡表(R)のオンライン解説は違法なのか?」というテーマを考えます。

 
 
 
(免責事項)
※この記事の内容は個人的な見解を多く含んでおり、判例に基づいた法律の解釈とは異なる可能性があります。記事の内容を鵜呑みにせず、必ず専門家に相談の上、ご自身の判断で行動していただきますようお願い致します。
 
※記事の中の例はあくまでも仮想事例における私個人の見解であって、その内容を保証したり、特定の行動を推奨するものではありません。