月曜日のエッセイ第5回です。
スーパーのレジ袋や、郵便局での両替手数料など、これまで無料だったサービスはどんどん有料化しました。生活必需品の値段も上がっています。いま、何ができるのかを考えました。
世界中の時間は……
世界中の時間は統一されている。地球儀を回せば、経度0度のグリニッジ天文台を通る線が、目立つ色で引かれている。
インターネットによって情報サービスがフラットになった今現在、画面をクリックすると世界標準時刻(=UTC,協定世界時)が表示される。
世界中から大企業のサービスにアクセスでき、Amazonミュージックや、Googleワークスペース、Metaのマイページなど、料金限定かつ期間限定のサービスを受けることができる。
無料のサービスや、安いサービスが提供され続けていると、それらがいつまでも続くものと錯覚してしまう、だが、突然の終わりを知らされた時、世界が同時に休むことなく、時計の針を進めていたことを意識させられる。
G-suiteの無料サービスが終了、値上げへ……
G-suiteの無料サービスが終了、値上げへ方向転換された。G-suiteは企業・法人向けのサービスで、10人までの小規模のグループで、チャットやカレンダーなどのサービスを共有できるサービスだった。2022年7月1日で無料サービスを終了する。現在はGoogleワークスペースと改名されて新しいサービスに変わっている。
ニュースを届けるGIGAZINE、投資家が集まるPostprime、動画のYouTube、無料投稿から有料投稿へ移るサービスが増えている。一旦無料サービスで教育された体の動きは、一筋縄では元に戻らない。スマホで1回タップをする手間や、広告の間に15秒を待つ時間がもどかしくなる。
ネットにつながる限り、情報サービスの終了は世界同時にやってくる。物とサービスの供給が引き締められた時、私たちがとれる手段は4つある。
- 自分で同じものを作るか。
- 代替サービスを探すか。
- 利用を減らすか。
- 値上がり分を稼ぐか。
激しすぎる変化の中にいると、逃避して世界が止まっている感覚に浸りたくなる。あえて何もしないという選択をしたくなる。しかし、「何もしない」という選択をする意志がなければ、カラフルな広告や、慣れ親しんだ習慣によって簡単に揺り動かされてしまう。
日本の明け方……
日本の明け方、午前6時、1月。薄闇の中で見慣れた町を眺めると、すべてが時間を止めて、何も動かず、何も変わらないように見える。一方で、当たり前のようにサービスは供給され続けていて、冷蔵庫に電気は来ているし、蛇口をひねれば水は出るし、W-Fiは電波を飛ばし続けている。
気づかないところで消費が積み上がり、月1回の請求書で使った量を意識する。インフラサービスや世界のサービスが、世界の統一された時間に合わせて提供される。個人1人や日本だけが、逃れることはできない。
原材料だって高騰している……
原材料だって高騰している。新型コロナウイルスによる人手不足、流通のひっ迫、供給不足など、海外の出来事がすぐに日本に影響する。
原油・金・プラチナ・鉛などの資源商品や、小麦・大豆などの農業商品が高騰し、身近な商品も値上がりしている。ガソリンを始め、バター・コーヒー・私の好きなアイスクリームと、何でもかんでも値上がりしている。
安いものは今だから安いのだし、無料のサービスは期間限定だから無料で使える。そのことを忘れ、終わりが見えないものをいつまでも続くと思ってしまう。
値上がりの時代には、素材や原材料に加え、体を健康に保つためのカロリーや栄養素にも注目が集まるだろう。また、物とサービスの価格上昇をカバーするために、日本円を素材関連や原材料関連の金融商品に変えて持っておく方法が注目されるかもしれない。
家計簿に無料のサービス0円を……
家計簿に無料のサービス0円を、今年は追加しようと思う。次の4つに分類したい。
- 絶対に必要。無いと私ではなくなる。仕事に必要。
- 必要か不要かわからない。2か月間様子をみて判断する。
- 節約のためには不要。代替できる。
- 無駄。今すぐやめる手続きをする。
この中でも代替は興味深い。例えばレモンスカッシュが飲みたければ、レモン果汁と炭酸水を買えば自分で作ることができる。
豊かな生活とは、なにも清貧を目指すことではない。適度な欲と活気を出しながら、欲望をコントロールする技術をもって暮らすことだ。
必要な栄養素、必要な物、必要なサービス、適度な人との関係。あらゆる分野で、自分の「最適量」を見つけて忘れないようにしたい。
手作りのレモンスカッシュは、意外と美味しかった。物とサービスの値上がりは家計に響くが、これも生活スタイルをシフトさせるチャンスかもしれない。
値上がりに対しては、慣れ親しんだ習慣を続けず、自分で筋道を立てて考え、変化に富んだ生活を設計していきたい。