「越前たけふ」駅のひらがな表記はとてもセンスが良い、と感じています。
1.武生はなんと読む?
北陸新幹線が2024年3月に敦賀まで伸びました。
東京駅~金沢駅に加えて、
福井駅、越前たけふ駅、敦賀駅の順番で止まります。
この「越前たけふ駅」のひらがな表示は、とてもセンスが良いと感じました。
その理由は、「誰でもすぐに読める」からです。簡単に読めるので、ネットで乗り換え検索をする時に、
- 文字を入力できる
- 音声入力ができる
- 間違えない
などのメリットがあります。
また、並べてみると、
「福井、越前武生、敦賀」
「福井、越前たけふ、敦賀」
と、ひらがなを敢えて使う方が、ひと駅ごとの表記が目立って見えます。
2.ネットのアクセシビリティ
情報へのつながりやすさは「アクセシビリティ(access+able(できる)」と言います。ネットで情報を集めるには、文字を入力することが最初の第一歩です。
駅名の表記方法を話し合った人たちは、「調べる・検索する」という人の行動を、しっかりと考えていたのだと思います。
読めない漢字は検索されません。「ぶせい駅・ぶお駅・たけお駅」と検索をしても「武生(たけふ)」という文字は出てきません。
それはもう残酷なまでに、調べる負荷がかかるだけで多くの人は行動しなくなります。その行動特性を甘く見てはいけないと思います。
検索も同じで、入力が面倒になればなるほど、検索ワードを「ちょっと嫌な単語」に感じてくるでしょう。その感情の動きは、情報の売り手にとっては致命的です。
誰にでも読める表記を使うだけで、その致命的なマイナスを減らすことができるようになります。
3.水面下で連続的に動く
2024年の今年、北陸新幹線の開通時期と、大河ドラマ『光る君へ』の放送開始が重なったことは100%偶然ではありません。
物事はいきなり突然現れる非連続的な変化に見えやすいですが、見続けて考え続けている人にとっては小さな連続性の変化が積み重なっています。
福井県内ではきっと、北陸新幹線の延伸を見越して、タイミングが合わさるように動いた人がいます。
- いろいろな工場でお土産やグッズを作って
- 小売店の人たちを採用募集して
- 駅前にのぼりを立てて
- 専用ウェブサイトを作って、
と、確実に身の回りの変化を連続的に行ってきたはずです。知らない人にとっては、それは非連続的で突発的な変化に見えます。
そしてこの、連続性-非連続性を大きく分けるのが、ネットでのアクセシビリティです。これを操作することで、人を驚かせることもできますし、徐々にファンを増やすこともできます。
ネット上にあるなら、現実に「ある」
ネット上に無いなら、現実に「無い」
これは、Googleにあれば。Instagramにあれば、TikTokにあれば、Youtubeにあれば……と置き換えることができます。
情報の売り手に立った時、読みかたをわかりやすくすることが、読み手の感情に訴えるときに必要な条件です。
だから、検索されやすい「越前たけふ駅」は、とてもセンスの良い名付け方だと感じています。
~紹介~
大河ドラマ『光る君へ』、紫式部、源氏物語
興味関心がある人は、ゆかりの地の紹介記事をぜひ読んでみてください。
古典は奥が深くて面白いです。