2022年4月から、高校家庭科で投資信託の義務教育が始まります。
入ってきた最年少の新入社員が「今月は5万円儲けた」なんて言う日がやって来ます。お金の話はタブーではなく、どんどん身近になっています。
お金の蓄えはQOL(Quality Of Life, 生活の質)を上げてくれます。そして、投資信託に役立つ経済のリテラシーと一緒に、無用な嫉妬を避ける行動を知るには、この本がスタートになります。
1.QOL(Quality Of Life, 生活の質)はお金で上がり、嫉妬で下がる
1-1 嫉妬と欲望が価値を吊り上げる
QOL(Quality of Life)とは「生活の質」のことであり、お金が高めてくれます。
物にキャッチコピーをつけて、欲しがらせて羨ましがらせて、時には恐怖を煽り、価格を吊り上げます。Nintendo Switchやマスクで私たちは物価変動を見てきました。ネット取引が盛んになって、能力やサービスも売り物になる時代です。
差異があれば何でもラベル(キャッチコピー)をつけて商品にするのが資本主義です。
人の目に入った瞬間に、本人の意図に全く関係なく数値化・ランキング化されて、優劣の評価の対象になることは避けられません。ぼーっとしてると、思わぬ評価を受けます。
1-2 匿名無名のお金持ちは強い
差異が強調される社会では、「ヤバい」がみんなの快感です。内容は何でも良くて「ヤバい」ほど良し。あふれる「ヤバい」に振り回されるのも割と楽しい。
「有名税」として注目されるほど、あーだこーだ言われて、少なからず嫉妬や悪意の対象になりやすくなります。そこで、有名人のポジションを狙わずに、匿名無名のままで嫉妬を避けてコツコツ能力や財産を形成する戦略が生きてきます。
2.改善のサイクルを回す
格差が見えると「うらやましい、ムカつく、認めてくれない、何で?」と嫉妬が高まります。他人の評価やいいねの数に振り回されないために、シンプルにPDCAが役に立ちます。
自分で決めた目標を達成できて、次の改善ができるなら、他人からの賞賛はそれほど気にならなくなります。むしろ、このサイクルの中で、適度な嫉妬を行動のエネルギーに変えられます。
人それぞれに創作活動にかける時間・やる気・能力は違い、家事・仕事も様々ですが、人の意見を取り入れながら、どんどん記事を書いたり、絵を描いたり、動画を制作できる人はすごい人だと思います。
3. youtubeに低評価ボタンはいらない
あれ、何のためにあるんでしょう?
私には嫉妬をぶつけるためのボタンに見えます。
どれだけ下手でも(失礼!)、作品を作る熱量は、低評価ボタンをポチるエネルギーよりも遥かに大きいです。評価数が活動に影響するなら、コメントや評価ボタンは非表示のままで良いと思います。
ネット検索で満足できない不満は、他人の創作物にぶつけずに、自分の創作物に落とし込む方がよっぽど建設的です。自分の改善を軸に活動をしていれば、嫉妬から受ける損失を減らし、手元に残る利益は多くできます。
4.本の考察
4-1 中学生・高校生と金融リテラシー
この本では、需要と供給で価格が決まるという経済学の基本や、ツイッターのフォロワー数と権威の関係など、身近な話題を取り上げています。欲望と嫉妬が資本主義を動かすというエッセンスも感じ取れます。
義務教育では習わない内容もあるので、少しレベルを上げた夏の読書感想文に良いでしょう。
4-2 大人と金融リテラシー
第2章は読み応えがあり、経済学者ジョセフ・スティグリッツ氏の言葉が引用され、現在の資本主義経済の課題をピンポイントで言語化してくれています。
例えば、
- 総需要が足りていない
- 金持ちは金を消費しない(投資に回す)
- 利子が重要
- 機会費用
- 格差の拡大
- 教育投資が必要
- GDPには持続可能性や環境保護は織り込まれていない
など、うっすらと感じていることがきれいに言語化されています。
で、そこからどう行動するのか??
4-3 値決めで市場に参加してみる
商品に値段を付ける事はとても面白いです。自宅にある物をネット取引で売ってみると多くの発見があります。
商品の状態、希少価値があるか、他の人はいくらで売っているかなど、値段が自分ひとりの基準では決まらないことを実感できます。中高生にとっては、需要と供給を体感する実践の場として最適です。
京セラを創設した稲盛和夫氏も、値付けは経営で最も重要な事だと言っています。
資本主義のいいところは自由参加であり、軌道修正をしながら何度でもチャレンジできることです。失敗しても、損失を出しても、改善をして再挑戦できます。
さいごに
投資信託を、学校で教えてくれるのは羨ましい限りです。習わなかった20代、30代の方はまだまだ追いつけます。40代以上の方もこれからです。高校生や新入社員に負けないように私も学び続けます。