このブログで、年間300冊のビジネス書のアウトプットをしていきます。(※期間:2024年12月28日~2025年12月27日)

69冊目は『なぜあの人は同じミスを何度もするのか』です。
この一言で表すと、人の得意苦手を、脳の処理過程からわけた本です。
1.著者の経歴
- 榎本 博明(Enomoto Hiroaki)氏
- 東京大学教育学部教育心理学科卒業
- カリフォルニア大学客員研究員、大阪大学大学院助教授などを経て、現在はMP人間科学研究所代表、産業能率大学兼任講師。
2.ビジネススキル
獲得できるスキル
| 1 | 指導力・メンバーの管理技能 |
位置づけ・読み方
- じっくりと理解する
- 理論的・抽象的な内容
- 新しい着眼点を見つける読み方
3.内容
ミスをする人を考える視点:回想記億と展望記憶
著者は、冒頭に次のような人を設定します。
その人は次の良い一面があります。
- モチベーションが高く能力的にも優秀
- 記憶力はいい(打ち合わせの内容をよく覚えている)
その一方で次の悪い一面があります。
- 物忘れや細かなミスが多い
- 必要な書類、発注を忘れる
- 何度も会議に遅刻する
ミスをする人に対して、次の二つの視点から脳のしくみを解説しています。
1つ目:回想記憶
回想記憶の働きは次の通りです。
- 過去を記憶する
- 「このケースでこうしたら上手くいった 」を覚えておく
- 課題解決能力に影響する:なぜミスをしたのかという視点から自分を振り返り、まずい点を振り返ってチェックできる
次の現象は回想記憶から解釈ができます。
- 何度も教わったことを「覚えていません」と言う
- 「聞いていない、指示した覚えはない」と言う
- 愚痴が多い
思い出す時の「気分一致効果」
思い出すプロセスとして、気分一致効果が説明されています。
- 事前情報によって見え方が変わる
- 自分が当たり前に思っていることは言ったはずだと思い込んでしまう。
- 自分の気分に馴染む出来事ばかりを記憶してしまう。
愚痴が多いという現象の要因には、自分自身の気分をスタートにした回想から、別の視点へと切り替えることが出来ていない状態と捉えることができます。
人はいいかげんに記憶を上書きする
現象としては次の事が起こります。
- 思い出す時点で記憶は再構成される
- ニセの情報を吹き込むと、記憶はあっさりと作り直される
- 事後情報とつじつまがあうように書き換えられていく
- 質問を受けることや、語り合いの中で記憶が書き換えられていく
- 無意識にももっともらしいストーリーを作っている
2つ目:展望記憶
展望記憶のはたらきは次の通りです。
- 「未来に」しなくてはならないことを覚えておく
これが苦手な場合に、次のことが起こると解説されます。
- 忘れ物が多い
- 「何度も」遅刻する
回想記憶の強み(過去の記憶力・学歴)と、展望記憶の弱み(予定時刻に合わせた行動をとる)を分けて整理することにより、「記憶力には支障がないにも関わらずミスが多い人」の内的な能力差を捉えることができます。
4.私の感性
良かった言葉
記憶というのはオリジナルな出来事とは別物であり、記憶する人によって能動的につくられるとみなされている。
私の考え方
人の記憶を、
- 過去から現在へ(回想記憶)
- 現在から未来へ(展望記憶)
の2方向に向けて解説している点が新しい視点でした。
本書で解説されている人物像に対しては、
- 成績や学歴や資格に箔がついている、本人の能力のうち、相対的に記憶力が良い → 回想記憶には強みがあると判断する
- 思い出し方に癖がある、愚痴が多い → 回想の方法に焦点を合わせて、思い出し方の視点を変える声掛けのアプローチをする
- 遅刻する・忘れる → 声掛けや仕組み化の補助(ペアを組ませるなど)をして、展望記憶の弱みを補うアプローチをする
などが考えられます。
そして、私の考え方では、こうしたタイプの人は、回想記憶を利用して「こうなれば、こうなる」というパターンの数をこなせば、半年~1年後には人が変わったように覚醒し出します。
アプローチをする順番としては、社内の動かない物→社内の生身の人間→社外の人間、の順で、予定に合わせることが苦手という弱みを克服するプログラムを作れると思っています。
事務的な作業は絶好の最初のステップですが、デスクワークがとことん合わない人もいるので、「誰かが整理して、きれいに切り分けられた定型業務」に一時的に落ち着くのが現状だと考えています。
それほどまでに、「忘れる人」と社員からの評価を受けることは避ける必要があります。
展望記憶に弱みがある人がセルフプログラムを実践するとすれば
- フリマサイトで物販をする
- 暑中見舞い、年賀状を送る習慣をつける
などの方法が、個人的には良いと考えています。
5.関連記事の紹介
ミス予防は、工場の仕組みから工夫を学べます。
以上、『なぜあの人は同じミスを何度もするのか』の紹介でした。
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