このブログで、年間300冊のビジネス書のアウトプットをしていきます。(※期間:2024年12月28日~2025年12月27日)

67冊目は『部下の発達特性を生かすマネジメント』です。
1.著者の経歴
- 佐藤恵美(Sato Emi)氏
- 一般社団法人日本産業精神保健学会 理事
- キャリアコンサルタント
- 精神保健福祉士
- 公認心理師
- 臨床発達心理士
2.ビジネススキル
2-1 スキル表
| 1位 | チームづくり | ◎ |
| 2位 | ミスを減らす技術 | ◎ |
| 3位 | 健康促進・メンタルケア | ◎ |
得られるスキルは1位が「チームづくり」、2位が「ミスを減らす技術」、3位が「健康促進・メンタルケア」です。
2-2 位置づけ・読み方

「スイスイ読める」ところと「じっくり理解する」ところが両方ある本です。「抽象的で理論的な内容を、実際の働き方に当てはめる具体化」が必要です
3.内容
A自閉症とADHDの基本解説がちゃんとある
著者は精神医学を学んだ人なので、発達障害のうち「ASD(自閉スペクトラム症)」と「ADHD(注意欠如多動症)」に分けて、基本から整理して説明してくれます。
このあたりの信頼性は抜群です。2つの診断名の違いは、それぞれに最適な指導方法を選びとるときに役立ちます。
B.認知特性から教育方法・伝達方法を選ぶ
この本の特徴は、発達障害を「脳の機能の仕組み」という視点から解説していることです。
著者は、発達段階理論の3層の「エッグモデル」を引き合いに説明しています。
第1層:脳の仕組み
第2層:脳の働き方の特徴(=発達特性)
第3層:社会的困難(行動)
目に見える「困りごと」から理由を考えるのは、第3層→第2層の流れです。この本では医学的に第1層→第2層→第3層の思考の流れでトレースしています。
【ADHD】
第1層
- 前頭前野という脳の部位の機能低下
- 神経伝達物質の不足
- 報酬系の特異
第2層と第3層
- 不注意 → 抜け漏れ、ポイントミス、忘れ物
- 多動 → 一方的に話す、文房具をカチカチ慣らす
- 衝動 → 独り言を言う、優先順位関係なく動く
【ASD】
第1層
- 神経ネットワークの特異
- 偏桃体活動の特異
- ミラーニューロン系の特異
- 前頭前野の活動の特異
- 神経伝達物質の過不足
第2層→第3層
- 注意のコントロール
- 潜在的了解(イマジネーション)の困難
- ワーキングメモリの働きにくさ
- 感情のコントロール
上の4つが影響する実行機能の困難 → 気が散りやすい、過集中、進め方のこだわり、報連相が苦手、見えないものが分かりにくい(見通し、感情、概念)、聞き漏れ、説明が苦手、物に当たる、過剰に傷つく
記憶の特異性 → 覚えにくいが、覚えると忘れない。嫌な記憶が鮮明。細部の記憶が抜ける。
感覚過敏または低反応 → 刺激に敏感、体調に気づかない、ひどく疲れる
協調運動機能の困難 → 姿勢が悪い、字が汚い、動きがぎこちない
C.学習スタイルの種類分け
組織で働くことを前提に「学習スタイル」という切り口で、覚え方を整理している点も良い点です。
- 視覚優位:図解
- 聴覚優位:口頭説明
- 体感優位:ロールプレイ、実地訓練(やってみることで覚える)
- 言語優位:文書マニュアルを作る。メモをとる。書く、読む。
- 論理優位:理屈や因果関係を説明して納得する
- 経験優位:OJT,小さな業務から実施
病名を付けて終わりではなく、相手がしやすい学習スタイルでの実践機会を提供することも、マネジメントの一つと解釈することができます。
4.良かった言葉・私の考え方
4-1 良かった言葉
チャレンジの機会は必要ですが、一方で、本人の特性に配慮して調整が必要な場面もあります。その見極めこそが、マネジメントの腕の見せどころです。
理想の状態を目指す言葉として、頭の片隅に置いておきたい言葉です。
4-2 私の考え方
実際には「配慮」に行き着く前段階の「観察」と「ヒアリング」はとても難しいですし、外れることもきっと多くあると思います。良い変化を忍耐強く待つ態度が試されると思います。
発達障害を「知ろう」として最初に出会う可能性が高いのは
- ~ができない
- ~が苦手
などの、ネガティブチェックリストの長々とした羅列だと思います。
肝心の「その苦手に対して、どうやって対処すればいいいか」を書いていない情報源もあります。
マネジメントする側に必要な態度は、実際の目の前にいる発達障害かもしれない部下の言動とネガティブチェックリストを照らし合わせて、リストに一つひとつ線を引いてリストの数を減らしていくことだと考えています。
"あの人"を、「~できない」の集合体として捉え放置するのではなく、数個の厳選した「~できない」に絞って、成長機会を提供することが大事だと考えています。
この本には、試しに使えるチェックリストや工夫がたくさん書かれています。
「障害のあるなしに関わらず活躍」を達成するには、
- 今現在の業務フローの把握能力
- タスクを切り分けて期間指定で任せる態度
- 得意と苦手を、同僚との関わり方や、成果物の質と量から観察する力
- メンター役が、付き添い過ぎでフォロー疲れにならないようにするさじ加減
などが必要と考えています
発達障害かもしれない部下がいた場合、役割がはまればいい動きができる可能性もあります。一方で、周りがフォローのし過ぎでヘトヘトにならないように自衛することも、配慮をする時には合わせて必要と考えています。
5.関連記事の紹介
発達障害は「生まれつき」の障害で、幼少期から行動に現れることがあります。こちらの本は、幼少期の特徴(おそらく大人になってもベースには脳のはたらきが影響していること)が読を読むことができます。
こちらは、発達障害者にはユニークな友好の証(=ホスピタリティ)があると考えた時の投稿です。
以上、『部下の発達特性を生かすマネジメント』の紹介でした。
このブログでは、仕事術のほかに、だれでも気軽にできる職業キャリアのつくり方を発信しています。