このブログで、年間300冊のビジネス書のアウトプットをしていきます。(※期間:2024年12月28日~2025年12月27日)
56冊目は『小さな会社の「仕組み化」はなぜやりきれないのか?』です。
1.著者の経歴
- 小川実(Ogawa Minoru)氏
- 一般社団法人成長企業研究会の代表理事
- 一般社団法人相続診断協会代表理事
- HOPグループ代表
2.ビジネススキル
2-1 スキル表
1位 | 仕組み化 | ◎ |
2位 | チームづくり | ◎ |
得られるスキルは1位が「仕組み化」、2位が「 チームづくり」です。
2-2 位置づけ・読み方
「じっくりと理解する」本で、「理論的・抽象的」な内容です。
読書は「まずは書かれていることを理解」して、「新しい着眼点を見つける」読み方がオススメです
3.内容
仕組み化が必要な組織、必要ではない組織
この本で得られる着眼点は「そもそも今の組織に本当に仕組み化が必要ですか?」との問いかけから考察を始める点です。
著者は、仕組み化が不要な組織として次の特徴を挙げています。
- 「エキスパート経営」をしている組織
- 従業員が職人的
- 個人の能力の範囲で事業を維持していく
仕組み化が必要な組織として、次の特徴を挙げています。
- 「レバレッジ経営」
- 多様な人材を採用する
- 事業拡大を目指している
- ピラミッド型の組織
著者は、「前者と後者のどちらを目指しても良い。ただし、どちらを目指すのかトップによる言語化が必要」と書いています。
仕組み化を阻む制約
いつも頭の中に課題はあるんだけど、忙しくて手が回らない……
この本は「小さな会社が事業拡大をするためには仕組み化が必要」という視点で書かれています。仕組み化を阻む制約を次のように示し、代表にはこれらを取り除く行動が次のように必要だと書きます。
- 人を入れ替えにくい(増やす・減らす) →小さな会社向けの仕組み化のノウハウを重ねる
- プレイング社長を辞められない → 現場作業は任せて、ビジョン・中期経営計画・評価制度や賃金制度を作る
- 情を無視できない →評価制度をつくる
賃金制度が無い
小さな会社では、次のことが明文化されていません。
- どういう仕事を求められているのか
- その仕事をするためにどういうスキルが必要なのか
- その仕事ができるようになると、どういった評価がされ、どのくらいの報酬が得られるのか
- ステップアップしていくと、どんな仕事ができるようになり、この先はどのくらいの報酬が得られるのか
4.良かった言葉・私の考え方
4-1 良かった言葉
「任せるという我慢」が難しいのが小さな会社
自分が「育てられた」という感覚が薄く、組織の中で人を育てるポジションを経験することなく独立した人もかなりいます。「私にできるのだから君にもできる」と求めることが高くなりがちです。
4-2 私の考え方
就業規則も賃金制度もない会社は存在します。「社長が連れてきた」創業メンバーの場合は、それぞれがそれぞれの雇用契約を結んでいます。
この本で仕組み化が不要な「エキスパート経営」とされている集団は、ジョブ型専門職・スペシャリストのカテゴリに近いと思います。1人1人が顧客に対して行う評価、関わり方の方向性、見通し、行動スケジュールはバラバラです。そうした組織では、仕組み化づくりそのものが自分の組織内での優位性を脅かすことにもなり、教育は自助努力にされがちです。
教育制度や賃金制度(就業規則)によるスキル評価をつくることは、発言力の小さい立場の社員ほどメリットを受けられます。
雇われる側にとっては、何を達成すればいいとされるのかが曖昧な場合は、揺れ動くゴールポストに向かって走り続けるようなもので、疲れがたまり続けます。ゴールが社長を満足させることだけ(あるいは、社長を怒らせないことだけ)の状態は本当に何のために働いているのか分からず、働くことへの希望が消えていきます。
いち労働者としては、社長に振り回されないで心身の健康を守り、勤続年数が長く誰も逆らえない社員の独裁体制を防ぐためにも、現場側から仕組み化を進める技術を持っておくことが身を助けると考えています。
5.関連記事の紹介
以上、『小さな会社の「仕組み化」はなぜやりきれないのか?』の紹介でした。
このブログでは、仕事術のほかに、だれでも気軽にできる職業キャリアのつくり方を発信しています。