銀行破綻のニュースが多く報道されています。2022年3月にはシリコンバレー銀行とシグネチャー銀行、4月にはファースト・リパブリック銀行が破綻しました。
投資家やトレーダーの界隈では『リーマンショックの再来だ』と言う人もいます。
私が感じたことは「何をどこまで心配をすればいい?」ということでした。関連本を読んだり、軽く調べると、「預金保護」と「決済機能」を知れば、安心材料がたくさん出てきます。
ニュースに心を揺り動かされないための安心情報の一つとして、『教養としての決済』を紹介します。
1.そもそも、外国の銀行破綻は誰が心配するべき?
1-1 「預金」だけなら心配いらない
この記事のシンプルな意見は、
- 総資産が1千万円以下なら、銀行破綻は心配しなくて良い
- 決済機能はそう簡単に崩壊しないから、キャッシュレス決済のポイント還元をどんどん使おう
という2点です。
「預金保護」はシンプルで、日本の金融機関が破綻した場合は、1金融機関あたり1000万円までは保護される制度があります。
万が一金融機関が破綻した時 : 預金保険機構 (dic.go.jp)
資産が2000万円ある場合は2行以上に分けて管理すればクリアです。
1-2 「決済システム」も簡単には崩壊しない
世界の金融システムは、次のように書かれています。
リーマンショックにも耐えた(15ページ)
この先も揺るがない米国優位(27ページ)
ここで注目するのは、「決済機能は何によって守られているか」です。リーマンショック時に決済機能を守ったのは、富裕層の資産家でもなければ、世界のトップ企業でもなく、各国の中央銀行による資金供給だったという点です。今、中央銀行はその資金を引き締めて回収している段階です。
2.資金回収から銀行破綻へ
日本以外では、資金を回収するために金利が上げられ、それが銀行破綻の話にもつながっています。
- 金利上昇
- 債券価格が下落
- 債券を持っている銀行の資産額が減少
- 銀行の経営状態を心配して、預金を現金化する人が増える
- 銀行破綻
こうして見ると、現金化されないことを前提にシステムが回っているようにも感じます。信用収縮の世界は、投資家やトレーダーにとっては考えておくことだと思います。
3.決済システムへの参加=社会的信用
3-1 現金支払いだけの窮屈な世界
銀行口座をもたない多くの人々にとっては、現金が唯一の決済手段となっている。(21ページ)
もしも決済機能がなかったら、不便な生活を強いられます。
- 駅では券売機の行列に毎日並ぶ。
- スーパーでは現金払い。
- 前払いのネット注文ができない。
- 給料日には、現金の札束で受け取る。
これは私も嫌です。「現金の実物を見せないと、お互いに信用しあえない社会」はとても不便です。
3-2 みんなで一緒に信用をつくる
本書では、決済は「負債を免除する方法」と難しい言葉で書かれていますが、私なりに言い換えると、「手元に現金が無くても、売買が成立して、その場ですぐに商品やサービスを手にすることができる方法」だと考えています。
また、この本を読んで得られた新しい視点は、「決済システムに参加できていることが、社会的な信用を表す」というものでした。確かに、現金以外の決済手段を持てることで、信用取引やローンのように、手持ちの金額以上のお金を動かせるようにもなります。
ビットコインを含む暗号資産も、世界中の人達が参加をすることで信用ができています。『教養としての決済』には、「すこし長めの仮想通貨入門」という章もあります。
3-3 流動性がとても大事
給料振込は、物やサービスに変えることができる決済手段を提供してもらっているとも捉えられます。決済手段に信用があれば、ビットコインでも、楽天ポイントでも事足ります。
個人レベルで最も優先して対処するのは、「流動性のリスク」だと考えています。使っている人が多いことが、決済手段の価値を高める要素の一つにです。その点で、ポケモンカードや年代物のワインは、価格はついていますが、近所のスーパーでは支払いに使えないので決済手段としての価値はイマイチです。
明日の白米、パン、パスタを買うための、流動性のある決済手段を最低限は残しておくことが重要だと考えています。
3-4 キャッシュレスをしよう
食料品が買えるなら、日本円の現金にこだわる必要はありません。キャッシュレス決済なら、割引クーポンやポイント還元もあり、現金よりも魅力のある決済手段です。
私の総資産は1000万円以下なので、銀行破綻の対策としては、いつもしている節約術としてのキャッシュレス決済を使うことで十分だと考えています。
4.おすすめ関連本3選
『物価とは何か』
この本には、決済手段としての『貨幣の魅力』というフレーズが出てきます。物価上昇や決済手段の仕組みを説明してくれています。卵から電気料金まで、あらゆる物の値段が上がっている今、その理由がスッキリとわかる本です。
『アメリカ史(上・下)』
経済発展には決済システムの整備が欠かせません。アメリカでは、鉄道網の発展と同じように、決済システムが発展してきた歴史があります。『教養としての決済』と合わせて、歴史の本の山川出版社が出している『アメリカ史』も読みごたえのある良書でオススメです。
『News Diet』(ニュースダイエット)
不安や恐怖を煽るネガティブ記事から距離を置く大切さを書いています。私はこの本のスタンスに賛成しています。「ニュースは意図的に発信者が作るもの」というエグい事実が分かります。
まとめ
銀行破綻に対しては、
- 資産1千万円を持っていないなら、心配し過ぎなくても良い
- お得な還元があるキャッシュレス決済を使っていれば対策ができている
ということが私の考え方です。