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青春アドベンチャー名作おすすめ01『ヨコハマ・ジャスミンホテル』

青春アドベンチャーの名作紹介その1です

 

放送日:2021年5月10日~5月21日(全10回)

作:吉田小夏(Yoshida Konatsu)

音楽:川田瑠夏(Kawada Ruka)

演出:藤井靖(Fujii Yasushi)  

 

タグ:歌あり、大正時代、成長物語、ロシア民謡

主人公:青年(22歳)

 

1.あらすじ

舞台は大正末期、関東大震災から3年後、1926年の横浜。

主人公の桂吉(ケイキチ)は、幼い頃に生き別れになった兄と姉を探すために横浜にやってきた。路上でアコーディオンを弾く謎の男に勧められ、横浜で最も高級なあいまい宿、ジャスミンホテルのコック見習いとして働き始める。そこでメリケンお雪と出会い、異国の文化に出会う。彼が失踪した兄と出会うとき、生い立ちの謎が明かされる。「ふるさと」を見つめなおす、桂吉の成長物語。

 

2.聴きどころ

この作品の聴きどころは、何といっても歌と音楽です。宝塚のトップ娘役を務めた花總(はなふさ)まりさん、ミュージカルの舞台で活躍されている綿引さやかさんと、同じくミュージカル俳優の藤岡正明さん。オーディオドラマではおなじみで、物語の鍵となる子守唄を歌う石川由依さん。歌唱力のある豪華なメンバーです。

 

第1回の冒頭では、藤岡正明さんが「東京節」を歌います。綿引さやかさんが演じるエリーが歌うのは『Swanee』。

  

川田瑠夏さんの音楽が、作品の世界観を創り上げています。特に、食事をする場面での音楽では、桂吉が生まれて初めてシュークリームを食べる場面 (第2回10:50)や、桂吉がお銀さんに雑炊を食べさせている場面 (第4回12:50)の音楽がとても良かったです。田中誠人さんが石川由依さんを追いかけるようにして歌う子守唄 (第9回4:20)も、印象的なシーンでした。

 

3.三つの名言

吉田小夏さんの作品は、ぐっとくるセリフや、ドキッとする言い回しが出てきます。

3-1 ふるさと

転校や転勤で、何度も引っ越しをしてきた私にとって、とても胸に響くセリフでした。 

 桂吉、甘ったれるんじゃないよ。

 故郷を持たずに大人になったって言うんなら、自分の心で作ればいい。自分で作ればいじゃないの。決めればいいじゃないの。この場所が、この人が、この風景が自分の故郷だって。あんたが大人になったなら、故郷を自分で決めていいんだ。(第5回 11:00)

 

吉田小夏さんは、FMシアター『星降る教室(宮沢賢治生誕120年企画)』の脚本でも、主人公が故郷を想う気持ちを書いていました。故郷は決めつけられるものではなく、これから探して創ることができる、という考え方にはとても共感します。

 

 

3-2 震災と瓦礫と人の死と

桂吉の兄が、横浜を離れない理由が語られるシーンの言葉です。

 俺は、この街を離れる訳にはいかない。(中略)

 小夜がもし骨になっているならば、がれきと混ざり合って、この街のどこかの土の下にいるんだ。追われる身であっても、この街を離れない理由は……小夜だ……

町ごと小夜を弔い続けるためだ。(第9回 1:00)

 

物語の中では関東大震災のことですが、阪神淡路大震災、東日本大震災で生き残った人の事を、思い起こさせます。

 

3-3 生きることがベース

生まれてくることと死ぬことは自分では選べねえんだからさ。ちゃんと食って寝て、働くしかねえだろう。その日が来るまでは。(第4回 10:30)

この作品の中で一番好きなセリフです。 

なんだかこう、このセリフだけでなく作品全体のベースに、生きることを前提にした気持ちがあることを感じます。 仕事前に生卵を二十個も飲むお雪さん、お銀さん、桂吉、みんなが生きることを前提にしています。

 

簡単にはへこたれない人の姿があり、それを演じる役者の人たちの声を聴けば聴くほど、元気をもらえる作品です。

 

 

4.関連音楽・関連図書

ここからは、作中で流れた曲を掘り下げてみます。

4-1 『Swanee』

4-1-1ピアノ

軽くて、ジャズ風で、BGMにもピッタリです。

動画の1:05からは特に、スーパーマリオのゲームの音楽にも出てきそうな、心を弾ませる音楽です。

もう少し、しっとりとした弾き方が好きな方は、 戸口純さんの演奏はいかがでしょう?

 

4-1-2合唱曲

映画『天使にラブ・ソングを…』が好きな方や、合唱が好きな方にはおすすめです。

 

4-1-3ジャズ

スワニーに一番合う曲調はジャズで、江利チエミさんの『Swanee』がこの作品の雰囲気に近いです。 Judy Garlandの『Swanee』も良いです。

 

4-2 『東京節・ジョージア行進曲』

東京節は、京楽座による『中西和久のエノケン』(作:ジェームス・三木)の動画で聞けます。

ラメチャンタラ ギッチョンチョンデ パイノパイノパイ

パリコトパナナデ フライフライフライ

  

物語の中で、桂吉が「でたらめな歌詞」と言った歌詞には、意味があるようです。こちらのサイトで解説がされていました。

東京節 パイノパイノパイ 歌詞の意味 大正時代の流行歌 ラメチャン (worldfolksong.com)

 

4-3 『コサックの子守唄』

1838年発表のロシア民謡『コサックの子守唄』は、作中で繰り返し歌われます。❝Баюшки-баю❞は、日本語で言うと「ねんねんころりよ」に当たります。 

子守唄は愛情の故郷。作品のテーマにピッタリでした。

 

4-4 無料楽譜。著作権はクリア済

ピアノが弾ける方は、次のテキストリンクから、無料でダウンロードできます。

 

東京節は原曲が『ジョージア行進曲』で、どちらも同じメロディーです。『Marching Through Georgia (ジョージア行進曲』の楽譜

 

Swaneeの作曲者は、ジョージ・ガーシュウィン(1937年没)。『ラプソディ・イン・ブルー』で有名な作曲家ですね。著作権をクリアしているSwaneeの無料楽譜もダウンロードをして演奏することができます。

 

コサックの子守唄(Казачья Колыбельная Песня)の楽譜もありました。

 

4-5 プレミア本

チャブ屋を作り上げた倉田治三郎や、メリケンお浜について書かれた本は、今は1冊1万円弱のプレミア付きです。はやく電子書籍化が望まれます。横浜「チャブ屋」物語―日本のムーランルージュ | 重富 昭夫 |本 | 通販 | Amazon

 

5.リクエストのお願い

青春アドベンチャー『ヨコハマ・ジャスミンホテル』は、完全オリジナル作品です。テレビ放送なし、ネットの聞き逃し配信の1週間期間を過ぎればもう公式に聞けません。

 

再放送をしてもらうために、簡単に出来ることがあります。

 

次のリンクからリクエストをひとつ送るだけで、『ヨコハマ・ジャスミンホテル』が、再放送される可能性がグンと高まります。出演者や製作者のファンの方は、ぜひぜひ、公式ホームページから再放送のリクエストを送ってみてください。

www.nhk.or.jp

出演者

平埜生成 <桂吉>  (Hirano Kinari) 

花總まり <お雪>  (Hanafusa Mari)

藤岡正明 <演歌師・桂吉の兄>  (Fujioka Masaaki)

石川由依 <小夜>  (Ishikawa Yui)

綿引さやか <エリー>  (Watabiki Syaka)

川口竜也 <さとうかっぺい>  (Kawaguchi Tatsuya)

鍛冶直人 <ミッキー山村>  (Kaji Naoto)

林次樹 <桂吉の父>  (Hayashi Tsuguki)

増子倭文江 <お松>  (Masuko Shizue)

尾身実詞 <シベリアお銀>  (Omi Minori)

  

粟野史浩 (Awano Fumihiro)

沢田冬樹 (Sawata Fuyuki)

ラヴェルヌ知輝 (Raverunu Tomoki)

田中誠人 (Tanaka Makoto)

 

演奏

Vn.&Va.南条由紀(Nanjo Yuki)

Vc.長南牧人(Chonan Makito )

Cl.竹村直哉(Takemura Naoya)

Apf.関向弥生(Sekimukai Yayoi)

 

制作

技術:山賀勉(Yamaga Tsutomu)

音響効果:野村知成(Nomura tomonari)

和田尚也(Wada Naoya)