今日はIT関係のGPTの本のレビューです。
1.どんな本?
今日紹介する本は『大規模言語モデルは新たな知能か ChatGPTが変えた世界』です。ChatGPTが仕事に使われるようになった世界の未来予測をしている本です。
2.全体の内容
内容としては、他の多くの入門書でも書かれている内容がきっちりと書かれています。
GPTがバージョンごとにどういった改良が重ねられてきたのかも書かれていて、岩波のシリーズらしい少し堅めの学術的な文体です。
- 仕事での活用
- 誤情報のリスク
- 言語モデルの発展
などが解説されています。
3.ここに注目
仕事上で残るプロセス
プログラミング・翻訳・文章校正では、ChatGPTを使って作業をして成果物を出すことはできます。一方で、100%の精度の保証ができないので人が関わるプロセスは残り続ける可能性が高いと書かれていました。
「人なら99%ではなく100%を保証できる」との考え方は、『AI翻訳革命』でも似た解説がありました。組織に生身の人間が必要とされるのは、(トラブルがあっても無くても)問題解決の責任を押し付ける人が必要という管理者側のニーズがあるからだとも思います。単に機能や能力だけでは人間の全部の仕事は代替されないと思っています。
プログラミング人材については、仕事のプロセスは変わるものの人手不足は将来的にも続く見込みなので、職業としてプログラマーは残る可能性が高いと書かれています。
自己注意機能
特長的な解説は「自己注意機能」の解説でした。これは、処理した結果を判別する機能です。結果に注意を向けて(重み付けをして)学習をする機能です。昔はテキスト内の近い場所に限って参照をしていた機能が、テキストの離れた場所にある情報も効率的に集めることができるようになったという解説には驚かされました。まるで人がモニターを見るように視線(=注意を集めるポイント)を動かしながら考えているようだと読んでいて感じました。
今のところはChatGPTには統一された腕や足が無いので人間が書類をスキャンをしたりタイピングで入力をしていますが、ハード面で統一された安価な手足のパーツが出てきたら、入力作業の代わりも予測に基づいてしてくれるのかもしれません。
著作権法
2018年改正2019年施行の著作権法では、機械学習の訓練データへの利用には法律上の制限がないと解釈されている、と説明されていました。イラストの学習、小説の文体の学習、楽曲のコードの学習などの分野で物議を醸していますが、法律的にはグレーな範囲が多く残っているのかもしれません。
4.まとめ
読んだ感想としてはお堅い解説書という印象でした。入門書として読むなら他の図表がたくさん載ったカラフルな解説書の方がとっつきやすいです。
『60分でわかる!ディープラーニング最前線』と合わせて読めば理解が進みます!
何冊か読んだ後なら、用語の意味などはスッとわかるので読みやすくなると思います。