今日は『超・超加速学習 拡張版』の書評レビューをします。
内向的・繊細・HSP(敏感な人)は、パワハラ・セクハラ・モラハラ・NPD(自己愛性パーソナリティ)の被害を受けやすい傾向があります。
生き辛い場所から抜け出す方法の1つが「勉強」です。知識・経験・資格を勉強で身に付ければ、きっと生きやすい場所に移れます。そのためには、人生のどこかでエネルギーを燃やす努力が必要です。
内向的な人こそ、一般的な「ふつう」の人たちは持っていない特別な感性を活かした働き方がきっとできます。
そのための努力の方法をお伝えします。
この本の良いところ、そこらの自己啓発本との違い、内容解説、そして今リアルタイムで勉強をしている人に響く言葉を紹介します!
私の感性で解釈をすると、タイトルの「Limitless」は「ぶっ飛んだスゲェ奴になろうぜ!!」という呼びかけです。
オススメ関連本をたくさん紹介しているので、文章を読むことが得意な人はどんどん読み進めてみてください!
1.学び方を学ぶ
今は変化の激しい時代でVUCAの時代(ブーカの時代)と言われています。
学んだ知識が新しくアップデートされる速度が速くなっています。
医学・タッチパネル・デジタル教科書・ChatGPT・リモートワークなど、すさまじい速さで変化が起こっています。
今持っている知識の質や、体を動かす技術が、じわじわと気付かないうちに求められなくなっていく不安を抱えて生きる時代になりました。
そうした時代に注目されているのが『学び方を学ぶ』行動スタイルです。
この本がテーマにしている、勉強をする前に勉強法を学ぶことです。
2.超超加速学習の読み方
2-1 うさん臭い自己啓発書のままでいい
大きなカテゴリーでは自己啓発書に入ります。私は読む前に「ちょっとうさん臭いかも」と感じていましたが、読み終わった後のその感想は変わりません。
- あなたはなぜ勉強をするのですか?
- あなたは何に幸せを感じますか?
という問いかけです。
疑いは残っていますが、この本が持つ価値は、「内向的な人が自分で勝手に下げてしまいやすい自己肯定感の作られ方を、圧倒的な文章量で勉強をからめて体系化していること」にあります。
2-2 Limitlessの意味は?
狭い意味のLimitless
「Limitless」は、Limit(制限をする)がless(少ない)という意味です。
狭い意味での「Limitless」とは、「「お前は~ができない」というネガティブな他者評価を取り除くこと」です。親からの否定的な考えの押し付けや、同僚のマウントに言い返せなくて自己効力感が下がる出来事もありますが、そこで止まるのはもったいないです。
学歴コンプレックスを始めとするネガティブな自分像の枠組を取り外す説明の一つが、この後で解説をするガードナーの8つの知能です。
私なりの解釈では、狭い意味のLimitlessは「IQ絶対信仰から抜け出そう」という呼びかけです。
広い意味のLimitless
広い意味の「Limitless」とは、「学習のスピードアップを実現させる3つの要素」を整えることです。
- 可能性(マインドセット):価値の優先順位付け、学習をする目的、情熱
- 手段(メソッド):勉強法の勉強、ノウハウ
- 目的(モチベーション):目標達成の技術
この中で著者が一番重視しているのは「目的(モチベーション)」です。
目的を設定して維持し続ける行動(モチベーション) = 情熱(自分主体の価値付けに基づく情熱とエネルギー) × 方法論(エネルギーを減衰させないためのSmall*Single*Step)
です。「スモール・シングル・ステップ」とは小さな行動を集中して終わらせることを段階的に進めるという意味です。
これまでの解説を踏まえてタイトルの「Limitless」を私なりに言語化すると、「自分の価値づけを信じて、自分の内側で発生する情熱をエネルギーにして圧倒的な行動を継続して、ぶっ飛んだスゲェ奴になろうぜ!!」という呼びかけになります。
3.かんたん本要約
3-1 可能性(マインドセット)
価値観こそが情熱
本の言葉では「試行錯誤をする成長型マインドセット」と書かれています。
私の解釈では「「なぜ?」を能動的に考える力」です。
「自分発信の主体的な価値づけが、情熱の発生源である」という解説は読んで私が気に入ったフレーズです。それは「物事の価値に優先順位をつける」ことだと書かれています。
ガードナーの8つの知能:ペーパーテストが苦手なら目指す能力
他者からの価値付けでよく起こるのが、ペーパーテストで測定する知能(IQ:intelligence quotient)による評価付けです。学歴・資格などです。
実は「知能」は大きなカテゴリーの名前に過ぎず、実際にはIQ以外にもガードナーが提唱している8つの知能があります。
それは次の8項目です。
- 空間的知能
- 身体・運動的知能
- 対人的知能
- 音楽的知能 … テンポ、リズム、響きを捉える力など
- 言語的知能
- 論理・数学的知能 … 関係性や力学を捉える力など
- 内省的知能
- 博物的知能 … 自然界の事象を見分ける力など
詳しく知りたい人は、大人向けの本に『教師のための「非認知能力」の育て方』があります。IQ以外の力をどうやって伸ばし、どうやって測定するのかについて書かれています。
『超々加速学習』は、その圧倒的な物量とロジックで他の自己啓発書とは一線を画しています。知能を単なる「机に向かって熱心に勉強」に限定せずに、勉強をツールとして捉えてその先の実現したいことに焦点を当てています。
楽観的なマインドセット
ペーパーテストで測れるIQ、そしてガードナーの8つの知能は私たちのセルフイメージを形成します。「わたしは……」に続く、「おとなしい、内向的、理性的、おだやか、のほほんとしている、安心感を与える」などと認識する姿形や行動イメージです。
そして、内向的で繊細な感受性と外に表す行動は、意外と別物だったりします。普段はおとなしい人でも、得意分野のことは圧倒的なスピード発揮できることもあります。
私の体感では、転職を例にすると、先行きが暗い業界業種から利益が出ていて待遇が良い業界業種に移るためには、まずは新しい場所に先に飛び込んでから必要なことをスピード感をもって学び続けるスタンスが求められます。
場所を移るときは「えいやー!」で進む楽観性があるとやりやすいです。そして、悲観を切り捨てないといつまでたっても今いる場所から離れることはできません。ペーパーテストの成績や所属している組織で価値付けをする生き方から、自分の責任と価値観に基づいて物事の価値を感じて測る生き方への転換です。
楽観性というテーマで、1冊の一番オススメする本があります。『オプティミストはなぜ成功するのか』です。内向的で繊細な人が陥りやすい、行き過ぎた謙遜と卑屈さから抜け出すヒントをくれる本です。
3-2 手段(メソッド):勉強法の勉強
これは手段、ノウハウ、工夫のことです。
第1要素の情熱やマインドセットが「なぜ?」と調べる行動を生み出すなら、第2要素の手段・メソッドは行動をするエネルギーを無駄に消費せずに行動する工夫です。
一番馴染みのある「勉強法」の解説に当たります。
- 視覚化
- 関連付け(想起のフックを増やす)
- 速読法の習得
- 習慣化
- 記憶術
- 仕組み化
などが解説されます。どれも「能動的に思い出すアクティブリコール(想起学習)」で、AIの時代に必要になる能力です。
さらに「食事・睡眠・記憶」もここのカテゴリーに入っています。心的エネルギーと肉体的エネルギーを無駄にしない方法論だからです。
3-3 目的(モチベーションを引っ張る力)
学習スピードを加速する第3の要素はモチベーションです。
本の言葉では、目的(モチベーション) = (主体的な価値付けから生まれる)情熱とエネルギー × (エネルギーを減衰させない方法論としての)Small×Single×Step
と書かれています。
私の解釈では、「目標設定を主体的にして行動を続けるしくみを作ること」です。
この本の主張している「モチベーション」について、徹底的に考察をして別の視点を与えてくれるのは中公新書の『モチベーションの心理学』です。勉強をしている人や、誰かに教える立場の人が読むと、ビックリするほどモチベーションの捉え方が変わる本です!オススメです!
4.関連本・オススメ本・追加で読むと良い本
『超・超加速学習』に関連して、私の読んできた本の中でオススメをするなら次の2冊です。
『浪人回避大全「志望校に落ちない受験生」になるためにやってはいけないこと』を読んでみてください。京大受験を9浪して早稲田大学に合格をした人が書いた本で、「しくみや環境をつくることが大事」という話があります。
『キャリアづくりの教科書』は、生活に関わる大事な優先順位付けです。私が働き方や職種を考えるときに毎回読んでいる本です。
速読に興味があるなら、「速読は地道な勉強をした先に身に付けられる能力」という現実的な習得法が存在します。特殊能力ではない速読についてはこの記事を参考にしてみてください。
内向的で繊細な人ほど「静かなシゴデキ」を目指してください。そのことが将来にわたってあなた自身のメンタルを守ってくれます。上司から「仕事がデキる」という評価をもらうことができれば働く上での生き辛さが思うよりも減ります!
癒しのことばのシャワーを浴びる時期を通り過ぎたなら、次は新しい勉強を始める時期です。まずは勉強法の勉強を始めて変化を起こしていきましょう!
5.良い言葉探し
この本の中でとても良いと感じたフレーズを紹介します!
あなたの目的はあなたをどんな人間だと語っているのか? (166ページ)
私は、この本の中でこのフレーズが一番好きです。今のステータスや過去の出来事はいったん置いて、未来で生き生きと動く姿をイメージさせてくれるからです。
知識は大事だが、それを力にするのに必要なのは「なんらかの行為をなす」ことだ(149ページ)
肝はやはり「どのくらい賢いか」ではなく「どのように賢いか」なのだ
モチベーションとはプロセスだ。そして戦略でもあるので、自分でコントロールできる。ただし手順を踏めば、着実に生み出せるのだ。
モチベーションは湧いたり湧かなかったりするものではない。それを言うなら、やるかやらないかだ。
モチベーションは完全に持続させられる。風呂と違ってしばらくしたら追い炊きしないと冷めてしまう、といったこともない。
今、何かを学習している人はぜひ一度読んでみて欲しいです!自己啓発書の中ではしっかりとした内容が書かれているので、長文が読める人にはオススメです。
記事をここまで読んで頂けた人なら十分読み進められる量です。
ぜひ、1つでも勉強習慣にプラスになるような要素を見つけてみてください。